フォーリンガール
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香奈さんのあんなに嬉しそうな顔。
初めて見ました。
ほんっと、ころころ表情の変わる人ですよねー。
正直、見てて飽きない、っていうか・・・。
それにしても、この不快感は何でしょう。
香奈さんが笑顔で、まぁそんなことミーには関係ないはずなのに。
あの笑顔が、・・・いや、正確には「香奈さんが元の場所に帰る」という事実が、ものすごく不愉快で。
「あのー、」
「・・・っと、これをこうしてっ・・・」
「・・・聞こえてますー?」
「よしっ・・・次は・・・・」
「・・・・・・」
気付けば、エレベーターの前まで来ていました。
そして目の前にいる男性に声をかけてみているんですが・・・・そんな盛大に無視しなくてもよくないですかー。
とにかく、それが気に食わなかったんでそこらへんに転がってるペンチを拾って、
カーン、
と彼の頭に軽く振りおろしました。
「いっ・・・な、何ですかっ・・・!?」
「返事くらいしてくださいー」
「あ、あなたはっ・・・」
ようやく気付いてくれたみたいですねー。
いやー、それにしても、なんでこんなに警戒されてるんでしょう。
一応ミーも同じボンゴレなんですけどねー。
「直りそう、ですかー?」
「え、えええぇ、まぁ・・・私の手にかかればこれくらい2日で・・・」
「・・・そうですかー」
はぁ、と思わずため息が出て。
・・・いや、何でため息とかついちゃってるんでしょう。
2日待ってエレベーターが直れば、香奈さんはここからいなくなるわけで。
煩わしいエセ教育係がいなくなると思えば清々するだろうに。
なのに、そんなの。
「・・・・・つまんねぇの」
「は、はい・・・?」
「・・・ねー、あんたすごいメカニックなんでしょー?」
「も、もちろんですよ!」
「だったらー、不可能なことなんてないはずですよねー?」
挑発するかのようにそう言ってやれば、少し考えたあとに彼は拳を握った。
そしてミーの目をしっかりと見据えて。
自信に満ち溢れているようでした。
「もちろん!私に不可能なんてありませんよ!」
「じゃあ、1つお願いしたいんですけどー」
「何なりとどうぞ!」
期待を込めて、ミーは彼にあることを要求した。
どうしてそんなことを言ったのかはミーですらよく分からないけど。
いや、そもそも可能なのかすらも危うい。
言いたいことだけ言って、ミーはその場を後にした。