フォーリンガール

□04
1ページ/3ページ






「銀さん大丈夫ですか」

「あ"ぁ?」

「さっき見たときはそんなに包帯ぐるぐるじゃなかったですよね、階段から滑り落ちて窓ガラスにでも顔面ぶつけたんですか」



あぁ綺麗な顔が台無しじゃない。

なんて思ってたら「う"ぉ"ぉいっ!!」と怒鳴られた。

何だ銀さん実はヴィジュアル系だったのかそうかそうか。

ちなみにそれが俗に言う「デスボイス」というやつですね。




「てめぇなぁっ!!!誰のせいだと思ってやがんだぁっ!!!?」

「・・・・はて?」

「お前のせいだぁぁっ!!!」




え、私?

私なんかした?


とここに来てからのことを考えるけど、手を出したと言えばカエルの被り物を原型をとどめないほどに殴りまくったことくらいしか覚えていない。

ふん、いい気味だカエルめ。




「う"ぉ"いっ!!聞いてんのかぁっ!!?」

「っぇあ、はいはい聞いてますとも、私のせいなんですよね、どうもすみませんでした」

「・・・逆に腹が立つのは気のせいかぁ?」

「気のせいですよ、で、何の用ですか?」




そうそう、そう言えば私は銀さんに呼び出されたわけですよ。

そしたらまぁ話がそれちゃったわけですけど。

だってさっきまで無傷だった人が見るも無残な姿に変わってたら気にならない方がおかしいじゃん。




「あ"ぁ、お前に正式な書類を渡せとボスに頼まれてなぁ」

「正式な書類?」

「フランの教育係云々はおいとくにしてもだぁ、しばらくはこの城にお前を置いとかなきゃならねぇんだよ」

「そりゃまた何で、まぁこっちとしてはありがたいんですけど、・・・ここ日本じゃないみたいですし、エレベーターぶっ壊れてますし」

「エレベーター・・・?」




おっと、私また何かまずいこと言ったかな。

エレベーター発言に銀さんの表情が険しくなった。




「いや、あのですね、すっごい有り得ない話なんですけど、私エレベーターに乗ったらここに来ちゃったんですよ」

「はぁ・・・?」

「家のマンションのですね、エレベーターに乗って1階に下りようとしたら、」




ひゅーん、と。

急降下続けてたら、ここについちゃいました。


あっけらかんとしてそう説明すれば、銀さんは目を丸くしていた。

まぁ有り得ない話だもんなぁ。





「そ、そうかぁ・・・」

「はい」

「・・・で、そのエレベーターはまだここにあんのかぁ?」

「まだありましたよ、動きませんでしたけど」




そう言って、私は銀さんをエレベーターの所まで案内した。

いや、何で私が案内してんだ、銀さんここの住人のはずなのに。


着くや否ややっぱり銀さんは驚いた表情を浮かべていて。




「う"ぉ"ぉい・・・どうなってんだぁ?」

「いやいやどうなってるって、エレベーターが口開いて誰か乗ってくるのを待ってるんですよ」

「そういうこと聞いてんじゃねぇっ!!」

「と、言いますと?」

「元々この城にエレベーターなんざ着いてねぇんだ、どうやら幻覚でもないみたいだしなぁ」




幻覚、という言葉にちょっと興味を引かれたけどとりあえず置いといて。

なんか書類持ってエレベーター見上げてる銀さん見てたら、建築業のおじさんに見えてきた。

あ、いやギリギリお兄さんかなー。




「銀さん、銀さん」

「う"ぉい、俺はそんな名前じゃねぇぞぉ」

「それは分かってますよ、ウィリアム」

「ウィリアムでもねぇぞ」

「ところでおいくつなんですか?」

「人の話聞いてんのかぁ?」

「聞いてないです、で、おいくつなんですか?」

「う"ぉ"ぉい!!てめぇ堂々と聞いてないとか言うんじゃねぇっ!!」




さっきも思ったんだけど。

ここの暗殺部隊の方々、どうやらツッコミがお上手なようです。

こりゃあボケ側には天国だわー。

まぁそんなことはどうでもいいんだけど。




「で、何歳なんですか?」

「・・・32だぁ」

「うっわ見事に境界線っ!!」

「う"ぉいっ!!どういう意味だそれぇっ!!」




32かぁ・・・微妙だなぁ、おじさんかお兄さんか・・・どっちかなぁ・・・。

まぁでも銀さんのビジュアルならお兄さんでもいけるかなぁ・・・


・・・って、





「さんじゅうにぃっ!!?」

「反応遅すぎだろ」

「いやいや、だってその顔で32!?冗談はよしてよウィリアム」

「う"ぉ"ぉいっ!!!俺の名はスペルビ・スクアーロだぁっ!!!」

「あーおしいっ!!」

「ちっともおしくねぇぞぉっ!!」




何はともあれ自己紹介してくれた銀さん。

でも、ごめんなさい。


名前が長くて覚えらんない。←




「やっぱり銀さんで行こうかと思います」

「あぁもう別にそれで構わねぇよ」

「そりゃ助かります」



何か今、銀さんに諦められた気がした。

会って早々ってちょっと酷いよ、銀さん。

まぁいいや。


とか何とか思ってたら、ふいに目の前に差し出されたのは金色の鍵。

こ、ここ、これはまさかっ・・・・




「ぎ、銀さんっ、そんなまだ早すぎますっ、私達会って数時間しか経ってないのにっ」

「う"ぉい、めでたい頭してんなぁ」

「え、銀さんの部屋の鍵じゃないんですか?」

「んなわけねぇだろぉっ!!!」

「・・・なーんだ」




ちょっとときめいて損した。

いや別に銀さんのこと好きでも何でもないけどさ。


ん?ということは・・・





「これはてめぇの部屋の鍵だぁ」

「わーお、まじですかー!!」

「好きに使え、バスルームもついてっからな、飯はさっきの談話室で1日2回、朝と夕方だぁ」

「・・・・・・あっ!!!」

「あ"ぁ?」




そういえば、大事なこと忘れてた。

慌てて携帯の時計を見れば、11時を指している。

あれ、そもそもこの携帯とここの時間ってあってんのかな・・・。

いや、そんなことより、




「朝ごはん食べ損ねたぁぁぁっ!!!」

「・・・・・・・」

「折角のイタリアンブレックファーストがっ・・・くっそあのカエルのせいだ呪ってやる」

「・・・んなに腹減ってんなら、多分ルッスーリアが何か作ってくれるとは・・・」

「ルッスーリアさんどこーっ!!!」

「う"ぉい・・・」




銀さんをその場に残し、私は談話室までかけだした。

あ、何か話が若干途中っぽかったけど、まぁいっか。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ