フォーリンガール

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多分、というか絶対。

今日は厄日だと思いますー。

ていうか確定ですー。



談話室までの廊下で、何か変な女に出くわしてしまいましたー。


ゆらゆらくねくねひらひら、うるっさいし、頭イってるし。

オカマとロン毛と堕王子を混ぜたみたいな。

・・・うっわちょー最悪な組み合わせじゃないですかー。



なんかー人の話は聞いてないみたいですしー。

「誰か」って聞いてんだろワカメ。

ミーの国籍とか今は関係ないですしー。




めんどくさくなったんで放っておいて朝ご飯食べに行こうかとすれば、しつこく絡んできましたー


ぐえっ・・・襟元引っ張んなよ首締まんだろ。


何やら聞きたいことがあるらしいですけど、ミーには関係ありませーん。

大体空家でも何でもないんでー、もっと別の人間に聞けばいいと思うんですー。


かと思えば、今度は「朝ごはん私も食べる」とか言い出しましたよこのワカメ。

冗談じゃない。

てゆーか図々しいにもほどがありますー。




でも断ってもまたややこしくなるだけだと思ったんでー、そのまま自由にさせましたー。


・・・ま、多分殺されると思いますけどー。

一応、不法侵入には変わりないですしー。


ざまぁみろワカメ。



──────



「姐さん、もしかして今日バラの香水つけてらっしゃいますぅ?」

「んまっ!!この香りが分かるなんて、アナタいいセンスしてるじゃないっ!!」




え・・・




「今日もブロンドが素敵ですわぁ、王子」

「ししっ、当たり前だろ」




ちょ・・・え・・・




「レヴィさぁん、私ぃ今晩空いてるんだけどぉ・・・」

「ぬぉぉぉっ俺の所へ来ぉいっ!!!」




・・・・・おえっ




「素敵な銀髪・・・触ってもよろしくて?」

「・・・好きにしろぉ」




・・・・おいおい、まじかよ




「ボスぅ、その赤い瞳に吸い込まれそうだわぁ」

「・・・フン」




ちょっと待てコノヤロー。


思わずワカメの首根っこを掴んだ。

不服そうな顔がうざったいですー。





「何してんですかー」

「何って、皆様とお近づきになろうかと」

「・・・てゆーかー、センパイ達も何乗せられてるんですかー」




ワカメからセンパイ達に目を向ければ。

特に変わった感じもなく、いつもと同じ光景。

ボスは眉間に皺寄せちゃってー。

隊長もあまり機嫌はよくなくてー。

オカマはくねくねくねくねー。

堕王子はニヤニヤニヤニヤー。

変態は・・・・いや、こいつだけいつもと違ぇわあれ絶対どっか飛んでる。


とにかく、変態だけちょっと浮かれてるくらいでー、後は何も変わんないのにー。

と思ってたら、




ヒュッ・・・グサッ・・・




「げろっ!!」

「ししっ、んなことお前に言われなくったって分かってるっつーの」




堕王子が飛ばしてきた趣味の悪いナイフが見事ミーの被りものに刺さりましたー。

あーくそまじ殺りてぇこいつ。


・・・とはいえ、ベルセンパイの言葉の意味を理解しかねますのでー詳しくお聞きしたいんですけどー。





「んっふふっ、フランったらっ術士なんだから私たちの演技くらい見抜きなさいよっ」

「術士が見抜けるのは幻術だけですー、でーどういうことですかー?」

「・・・泳がせたんだぁ、そいつの正体を暴くためになぁ」





くねくね、オカマが言ったことに疑問を持てば、ロン毛隊長が代わりに答えてくれましたー。

お陰でようやく理解しましたよー。




ぽん!




「そういうことだったんですねー、いやーさっすがセンパイ達、あったまいー」

「そう思ってんなら棒読み何とかしろってのクソガエル」

「げろっ」




手を叩いて納得してみせたのに。

イカレ堕王子のやつ、まーたナイフ投げてきましたー。

芸のない奴ですねーほんっと。





「まーでもー、要するにーこのワカメに乗せられてたわけじゃないんですねー」

「カスが、当たり前だろう」




うっわー、ボス、相当ご立腹ですねー。

こりゃ完全に死にましたねー、このワカメ。

どんまーい。




「チッ、バレたか」

「そんなこと言ってる場合じゃないと思いますよー逃げないと殺されますよー」

「うっそーっ!!!ちょっちょっやだやだ冗談じゃないっ!!まだ死にたくないっ!!まだケーキ1ホール大人食いしてないし海外旅行も行ってないしエベレストも登ってないし、てゆーか地球制覇できてないのにもうあの世なんて嫌だあああっ!!!」

「う"ぉい、この女大丈夫か」

「いいえー相当頭イカレてますー、見てて哀れなんで早く殺っちゃってあげてくださーい」

「カエルぅぅぅっ!!!手ぇ離してぇぇぇっ!!!裏切り者ぉぉぉっ!!!」

「ミーは裏切ってないですーあんたの味方になった覚えはありませーん」





殺される、と分かった途端今まで以上にうるさくなりました、この女。

えぇそりゃもう、アホのロン毛隊長と大差ないくらいに。

もうー早くかっ消しちゃってくださいよーボスーほらー早くー。





「わ、わわわわかったっ!!!あんたらっこのカエルに手ぇやいてんでしょっ!!!?」

「あ"ぁ?」

「ししっ、だったら何だよ」

「私がっ!!!このカエルの性根を叩きなおしてあげるからっ!!!」

「・・・は?」




何言ってんですかーこいつー。

馬鹿ですねー、命乞いのつもりなんでしょうけどー。

確かにーセンパイ達はミーのことよく思ってないと思いますけどー。

いくら何でもー、





ガタッ




お、とうとうその気になりましたかーボス。


ツカツカ、とボスが歩み寄ってくると、ワカメは急に静かになりました。

あぁやっぱりどんな馬鹿でも死ぬのは怖いんですねー。





「・・・・おい、カス」

「カスじゃありませんワカメでもありません私はっ・・・」

「さっきの言葉に、間違いはねぇな?」

「・・・え」




ちょ、待て待て待てこらクソボス。

おぉっと、危なかったですー悪口言ったの超直感で感づかれるところでしたー。


・・・じゃなくってー。

殺さ、ないんですかー・・・?





「間違いないですっ!!!」

「・・・んなに言うんだったら」

「はいっ!!!!」

「今日からフランの教育係に任命してやる」

「あ、あ、あああ有難き幸せっ!!!」




おいおいおいおいミー差し置いて勝手に話すすめてんじゃねーよ。

何が教育係だ、何が有難き幸せだ。

冗談じゃないですー。





「ボスー、ミーは教育係なんていりませんー」

「ししっ、面白そうじゃん」

「私もそう思うわぁっ!!!」

「う"ぉ"ぉい、見物じゃねぇかぁ!!」





いやいやセンパイ達も何同意しちゃってるんですかー。

嫌ですよーミーはー、よりによってこんなワカメが教育係なんてー。


そんなミーの願いもむなしく、ボスは席に戻って行っちゃいましたー。

あーこれもう、確定ですかー。

どうやらそうみたいですねー。

・・・・冗談じゃねぇ。





「あの、ところで1つお聞きしたいんですが」

「何だ」

「フランって、誰ですか?」




がっしゃーん。



って、聞こえましたよーミーには。

センパイ達、固まってる場合じゃないですー。

早く殺っちゃってくださーい。

ミー頑張って良い子になりますからー。




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