鮫誕2011

□03.
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「いいかぁ、てめぇが拾ったリングは囮用のモンだぁ」

「へぇ」

「で、それを持って行動したっつーことはだなぁ」

「・・・ってもう8時じゃんっ!!」

「人の話を聞けぇぇ"ぇ"っ!!!!」




ばんっ!!

と机を叩いてそいつが叫んだ。

そんな大声出さなくてもいいじゃない。


このよく分からない場所(しかも地下)に連れてこられて約2時間。

あーだこーだ説明やら何やらをされたけど全くもってよくわからなかった。




「わかったわかった、ようするに危ない人には気をつけろってことでしょ」

「違ぇっ!!」

「・・・じゃあ何」

「さっき話したばっかだろうがぁっ!!」

「え、そうだっけ?」

「う"ぉ"ぉぉおいっ!!!」




頭を抱えて叫ぶそいつ。

スクアーロと言うらしい。

そんなことはどうでもいいんだけど、私は早く家に帰りたいわけで。


彼が叫んでいるうちにさっさと退散しようと鞄を抱えて足早に扉へと向かった。

が、




「待てぇっ!!!」

「ぎゃっ!!?」




襟元を掴まれて、いとも簡単に部屋の中央へと逆戻り。

くっそ、どうすりゃいいんだ・・・。




「あのですね、スクアーロさん」

「あぁ"?」

「これ、誘拐って言うんですよ?」

「違ぇ」

「違わないです、立派な犯罪です」

「てめぇみたいなガキを誘拐したとこで俺に何のメリットがあるってんだぁ」

「うっわちょー失礼じゃない?私だってあんたみたいな奴に誘拐されて何のメリットもないってーの」

「そもそも誘拐されること自体に何のメリットもねぇと思うぞぉ」




外国人の癖にぺらぺらぺらぺらと日本語を駆使してくるのがほんとにむかつく。

若干押し負けしてる感じがもっとむかつく。

・・・結局こいつは何がしたいんだ・・・!!




「じゃあ率直に聞く、私はいつになったら帰れるわけ?」

「さぁなぁ」

「さぁな、って!!」

「言っただろうがぁ、あのリングを持ち歩いて、しかも昼間のカスみてぇな奴が接触してきた以上、顔が知られてると思って間違いねぇからなぁ」

「・・・それが何だっていうのさ」

「狙われてんだよ、お前が」




・・・で、っていう。

結局それがどういう意味なのかよくわからなくって、でもここで反論したらまたややこしくなると思ったからやめた。

どっちにしろ、今すぐには帰れそうにない。




「で、リングは今どこにある?」

「どこって、・・・家かと」



だろうなぁ、と言ってスクさんはため息をついた。

何でこんな呆れられてるんだ、私。




「ひとまずはこっちの人間をてめぇの家の周りに潜ませてあるから大丈夫だとは思うが」

「・・・ちょ、待て待て、潜ませるって・・・」

「見張ってるってことだぁ」

「・・・そもそも、スクさんって何やってる人なんですか」




まともに話はしてくれるけど(叫ぶのは煩いけど)最初から怪しいと思ってたんだよ。

外国人だし髪長いし剣持ってるし。




「・・・てめぇが大人しく俺の言う事を聞くってんなら教えてやる」

「上から目線うざっ」

「つーか、そもそもてめぇに選択肢なんかないんだがなぁ」




と言いながら、本日何度目かのため息をつくスクさん。

ため息つきたいのはこっちの方だっての。


とか何とか思っていたその時だ。

ウィィン、と部屋の扉が開かれた。

現れたのは、右目に眼帯をつけた綺麗なお姉さん。




「あの、」

「あ"ぁ?」

「・・・これ、ボスから」



ミステリアスな雰囲気を漂わせながら、お姉さんは机の上に2つの紙袋を置いた。

てゆーかボスって何、誰かのあだ名?


ここにきてから色々とおかしなことだらけだ。

お姉さんはそのまま何も言わずに部屋を出て行ってしまった。


机に置かれた2つの紙袋を見つめて、私はスクさんに尋ねた。




「スクさん」

「何だぁ」

「あれ、何?」

「・・・着替えとかじゃねぇのかぁ?」

「着替え・・・、ってスクさんの?」

「てめぇのだぁ」

「は?いやいや、何で私の、」




と、そこでギロリと睨まれた。

えぇぇ、私何か変なこと言ったっ・・・?




「いいかぁよく聞けぇ」

「は、はい」

「これは誘拐でも何でもねぇ、上司命令だから仕方なくやってることだぁっ!!」

「そ、そうなんだ、大変だね」

「・・・っつーわけで、不本意だが今日から無期限でてめぇの監視をする」

「そりゃどう・・・えぇぇっ!!?」




【私に突き付けられた現実】

生活はここでする
(スクさんはアジトって言ってた)

絶対に1人で行動しない
(そもそも常に監視がついてるらしい)

警察のお世話にならない
(理由不明)

基本的にプライベートはないと思え
(冗談じゃねぇっ・・・!!)

監視係はスクさん
(・・・・ということは、)





「半同棲ーっ!!!?」

「紛らわしい言い方するんじゃねぇっ!!」




 

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