鮫誕2011

□02.
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あれから数分、連れてこられたのはこれまた人気のない場所だった。

・・・えぇぇ、この人助けてくれたわけじゃないのかな・・・。

いやまぁ、確かにこの人も何かすっごい怖い顔してるし・・・。

しかも今気付いた。



「・・・・剣、」



すとん、とようやく地面に降ろされ、そこで見えたのは先ほどのナイフなんかとは比べ物にならない長剣。

これって、こっちの方がタチ悪いんじゃ・・・。

とか何とか思いつつ、恐る恐る彼を見上げた。

ら、何故か人差し指立てて「しー」とされる。

・・・何のこっちゃ。

よくわからないけど、ものすごい怖い顔でそんなジェスチャーされたからとりあえず黙っていよう。

と思った矢先のことだ。



「っうあっ!!?」



突然、彼の手が私の首筋に伸ばされた。

思わず変な声を上げたせいで、今度は片手で口を塞がれる。


ちょ、今度はそっち系の方ですかっ!!

じょ、冗談じゃないしっ!!


んーんー言いながら押さえつけてくる彼から逃げようと試みた。

その時だ、ガシャッ、と耳元で何かが壊れる音がした。

同時にようやく解放された。




「あ、あああんたっ・・・何してっ・・・」

「あ"ぁ?」

「・・・・って、それ何・・・」

「盗聴器だぁ」




彼の手で粉々に砕けた黒い破片。

・・・って、今何て言った、盗聴器?

なんでそんなものが・・・




「・・・てゆーか、あんた一体・・・」

「詳しい話は後だぁ、一先ずついて来い」

「ついて来いって・・・あんたもあいつと同じようなことを・・・」




助けてくれた、と一時は期待していたけど、やっぱり違うみたい。

結局何も言われないまま「来い」だなんて。

・・・とんだ厄日だなぁ・・・。




「う"ぉ"ぉい!!あんな奴と一緒にするんじゃねぇっ!!」

「うわっ!!いきなり大声出さないでよ!!」

「いいから来やがれぇっ!!」

「ちょっ・・・痛い痛いっ!!」




ぐいぐい、と容赦なく腕をを引かれた。

痛い、って言ってんのに、全く聞く耳持たず。

本当にどうなってんのっ・・・!!




「もっ・・・離してよっ!!!」




腕をぶんぶん振りながら、心の底からそう言った。

瞬間だ。

そいつはピタリ、と足を止めた。

それが意外で、思わず私もきょとんとして見上げる。

と、いきなりそいつがばっと振り返ってきた。




「なっ・・・何っ・・・」

「・・・スペルビ・スクアーロだぁ」

「は、え・・・何・・・?」

「てめぇがこの間拾ったリングの件で話がある、・・・これで文句ねぇだろぉっ!!」

「とわぁっ!!?」




全てを理解できない内に再び腕を強く引かれた。

何、どういうこと・・・?

リング・・・って、確かにこの間拾ったけど。

青くて綺麗なやつ。


それとこいつが関係あるわけ・・・?


そう考えている間にもぐいぐいと引っ張られて、どんどん路地裏の奥へと連れて行かれた。

ちょ、文句以前の問題なんですけど!!




 

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