鮫誕2011

01.
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こんなドラマみたいなことって、
意外とあるもんなんだなぁ。


・・・・なんて感心してる場合じゃないけど。




「来いっつってんだろうがっ!!」

「嫌ですっ!!離してくださいっ!!」



がしっ、と私の腕を掴んだまま離そうとしない目の前の大男。

どうやら日本人ではないみたいだけど。


ってゆーか私が何をした!!

いきなり現れて、腕掴まれて「来い」なんてさ。

しかも見るからに怪しいナリしてるし。

生憎、この場所は人通りも少ない。




「け、警察呼びますよっ!!」

「あぁ"?サツなんか怖かねぇんだよ!!」

「日本の警察を侮ってたら、痛い目に合うんですからねっ!!!」




一向に腕を離さない外国人に負けじと私も強気で応戦した。

が、やはり力で敵うはずがない。

ぐいっ!と強く腕を引かれれば、いとも簡単に私の体はぐらついた。


その時チラリと見えたのは、男の片手にあった小さなナイフ。

そこでようやく、私は命の危機を察知した。




「いっ・・・!!」

「いい加減大人しくしねぇと、ぶっ殺すからな」

「っ、・・・」

「よーしいい子だ、・・・ったく手間取らせやがって・・・」




さすがの私も、凶器を前にしては大人しくするしかなかった。

・・・どうしよう。

私何にもした覚えないのに、なんでこんなやばい人に絡まれてるんだろう・・・。


腕を引かれるままに歩けば、目の前に黒塗りのいかにもー、な車が現れた。

・・・本格的にピンチです・・・!!



「てめぇには聞きてぇことがあるからな」

「・・・別に、話すことなんて・・・」

「ふん、無理にでも話したくなるようにしてやるから安心しろ」



二ヤリ、と笑いながらそいつは言った。

気持ち悪い・・・。


と、その時だ。


「え、」


ふいに、目の前が真っ暗になった。

否、真っ暗になったんじゃなく、背後から誰かに視界を遮られた。


直後に聞こえて来たのは、風を斬るような音。

と、耳を塞ぎたくなるような液体の音。

ぐしゃり、とすぐ目の前から聞こえたかと思うと、突然ふわりと体が軽くなった。



「なっ・・・!!」



・・・誰かに抱き抱えられてる・・・・?

そう思ったと同時に目を覆っていたものはなくなり、光が差した。

どうしてだか、風もないのに私の髪が靡いている。


何事か、と思い上を見上げれば、銀色の長髪を揺らす外国人がいた。

いや、私この人に抱えられてるんだ。

もちろん、さっきしつこく私の腕を掴んでいた外国人とは違う人。


なんだなんだ、今日はやけに外国人に絡まれるな。




「・・・あのー、」



私を抱きかかえたまま物凄いスピードで移動する彼に不安を覚え、私は恐る恐る声をかけた。

が、彼はチラとこちらを一瞥しただけで何も言わなかった。



 

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