フォーリンガール

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私がここに戻ってきてから、早3日が経ちました。

そして今日は日曜日です。


久々に何にも予定のない1日です。

そして早速ゴロゴロなうです。




「・・・もっかい寝ちゃおうかなぁ・・・」




しかもベッドの中ときた。

時刻は午前11時。

これはもう寝るしかないでしょ。

・・・と、完全なる廃人路線を辿ろうとしていた、その時だ。




ピンポーン、




と、家のチャイムが鳴った。

このタイミングで、誰だよこのやろう。


そう思いながらも、私はベッドから出ない。

まっ、どうせ回覧板とかそんなんだろうし、居留守使っちゃえ。




ピンポーン、


ピンポーン、


ピンポー




「っるさいなぁっ!!」



あまりのしつこさに私はガバッ、と起き上った。

どんだけやねん!!

とエセ関西弁でツッコミをいれつつ、仕方なくベッドから降りる。


これでしょうもない内容だったらまじキレてやる。

(多分ないけど)



はぁ、とため息をつきながら、私は適当にサンダルを履いて玄関のドアを開けた。




「はーい、」

「こんにちはー!宅配便です!」

「あ、どうもお疲れ様です」



そして結局こうなる私。

しかも宅配便のお兄さんに気を使っちゃってるし。


と、そこでお兄さんはずいっと玄関まで足を踏み入れて来た。

おいおい、図々しい奴ですな、普通その体でドアを支えながらやり取りするもんじゃないんですか。


・・・そうは思いつつもやはり言えない私。

変なとこで人見知り。




「こちらにサインをお願いします」

「はーい、」



心の中だけでつらつらと文句を垂れながらも、私は素直にペンを受け取りお兄さんの言う通りにした。




「はい、」

「ありがとうございます」



確認してお兄さんは笑顔を浮かべる。

あ、わかった、新人さんだな。

笑顔が爽やかでよろしい。


上から目線のコメントを、やはり心の中だけで呟いてペンを返す。

と、その時だった。

ぎゅ、




「っえ・・・・・」



ペンを返そうとしたら、なぜかお兄さんが掴んだのは私の腕。

と同時に、お兄さんの背後でガチャ、という音が聞こえた。

・・・・ちょ、待て待て、なんぞこれ。

ガチャ、て何。

てゆーか、手。

お兄さんの笑顔、ちょー黒いん、だけど・・・。




「・・・・あ、の・・・・何か・・・?」

「もっと警戒した方がいいですよ?」

「・・・っいやいや、一体何の・・・」



かと思えば、するりと私の腰に回されるお兄さんの手。

その手と、私の腕を握る手にぐいっ、と引かれ、無理矢理私はお兄さんの体に密着させられた。

・・・ちょっと待てよ、お兄さんだ?

そんな可愛いもんじゃない、こいつは・・・




「へ、変態っ!!!」

「何とでも」

「やっ・・・離してっ!!!」



今頃になって抵抗を始める私。

だけど物凄い力で体を押さえられて、もちろん何の役にも立たなかった。


や、ばい・・・っ!!


家には誰もいないし、さっきこいつ鍵かけやがったし。

・・・っ、誰かっ・・・・!!




「助けを呼んでも無駄ですよ?」

「や、だっやだっ!!離せ馬鹿っ!!変態!!」




ぐい、と壁に押し付けられて、一層逃げ場をなくしてしまった。

相変わらず笑顔を浮かべているそいつに物凄い吐き気がして涙がにじむ。


そんなとき、



「・・・っ、・・・・」

「泣かないで下さいよ、もっといじめたくなっちゃうじゃないですか」



わざとらしいその敬語が、あいつを思い出させた。

表情も声も何もかも違うけど。


あいつ、・・・フラン、に。

何でこんなときにあいつを思い出すんだ。


もう、会えるわけでもないのに。



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