鮫誕2011

□13.
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「・・・スクさんスクさん、」

「何だぁ」

「暇なう」

「・・・・・・・・で?」

「で?って何だよ!!」



このやろぉぉっ!!

と叫べば「うるせぇっ!!!」と怒鳴られた。

てゆーかスクさんの方が煩いしー。


それにしても、今日は学校もないわけでとっても暇。

アジト内にずっといたんじゃ何もすることがない。

けど、




「近場なら外に出ても構わねぇぞぉ」

「やだ」

「う"ぉ"ぉいっ!!我儘だなぁっ!!」

「だって今日寒いでしょ?3月なのに10度きるとかどんだけー」

「着込めばいいじゃねぇか」

「やーだー」





外に出てもいい、と言われたけどそれは嫌だった。

寒いから、って、寒いのが嫌なんじゃない。

ちょっと色々理由があって、ね。




「・・・やっぱ髪かs」

「だめだぁっ!!」

「・・・・けちー」

「何とでも言え」

「けちーはげーばかーあほー」

「う"ぉ"ぉいっ!!!調子に乗ってんじゃねぇっ!!!」




何とでも言えって言うから言ったのにー。

と思いつつ、やっぱりやることがなくって机に項垂れた。



ツキン、



と、左の脇腹に痛みが走る。




「いっ・・・・・」

「あ"ぁ?」

「・・・や、何でも・・・」




・・・また来た・・・。

と思いつつ、私はスクさんに見えないように痛む箇所を抑えた。


寒くなると痛み出すその場所。

知らないうちについてた傷跡がそこにはあって。

傷なんて、治らないことにはどうしようもないから、誰にも言ったことはない。





「・・・ねぇ、この部屋寒くない?」

「そうかぁ?」

「うん」

「また熱でもあるんじゃねぇのかぁ?」

「いや、熱はないけど」




熱、じゃない。

寒いとも思ってない。

なのに急に痛み出すから。

痛みを和らげるには、温かくするしかないことも知っていた。


と、そこでスクさんの表情が変わった。

あれは明らかに不審なものを見る目だ。




「・・・・う"ぉい、」

「・・・なに」

「お前、何か隠してねぇかぁ?」

「何も」

「嘘つくなぁ」




長い髪を耳にかけながら、スクさんは私の元へ寄って来た。

別に知られて困ることでもないけど、無駄に威圧感があって思わず後退してしまう。


しかし、そこでまたスクさんの表情が変わった。





「・・・そこ、痛むのかぁ?」

「え・・・・うん、・・・まぁ・・・・」




手で抑えたまんまだったから、スクさんの言う隠し事がその場所にあるってすぐに分かったんだろう。

それを見て、だ。

スクさんの表情がより一層険しくなったのは。

・・・なに、私何かまずいことしたのかな・・・。




「べ、別にっ・・・ちょっと痛いだけだし、大丈夫だからっ」

「・・・・・・」

「・・・・っもう、そんな怖い顔しないでよっ!!」




あはは、と笑って冗談交じりに言っても、スクさんの表情は少しも柔らかくならなかった。

その間にもツキン、とその場所は痛んで。


どうせならいつもみたいに「心配してるわけじゃねぇよばーか」みたいなこと言ってくれたらよかったのに。

と思いつつ、眉を寄せたままのスクさんを見たらまた悲しくなった。





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