鮫誕2011

□12.
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学校では何事もなく、私はアジトに戻ってこれた。

その帰り道の途中、妙に頭痛が激しかったけど、まぁいきなりの環境の変化で疲れがきたんだろう。




「ただいまー」

「う"ぉい、」

「ん?」

「もう寝ろぉ」

「え、まだ7時なんですけど」




時計を見れば、まだ7時。

どんなに良い子でも、さすがにこの時間には眠らないだろう。


と思っていると、不意にスクさんの右手が私の額に触れた。




「熱あるぞぉ」

「うっそ!」

「んなことで嘘ついてどうすんだぁ」

「・・・それもそっか、あれだよ、疲れてんだねきっと!」




まぁ頭痛かったし、熱あってもおかしくないか。

と思って笑いながら制服を着替えようとした。

その時だ。




「・・・っあ!!」

「あ"ぁ?」




何と言うか、こう。

急に、パッ、と頭の中で何かがはじけた気がした。

何だろう・・・不思議な感覚。

まるで何かを思い出したときのような。

だけど、別に忘れていたつもりはなくって。




「スクさん、もうすぐ誕生日だよね?」

「・・・・・・・・」



何の気なしにそう尋ねたはずなのに、スクさんから返事は返ってこなかった。

というか、驚いた表情のまま固まっている。

・・・え、何で・・・?

・・・あれ、ってゆーか・・・




「あ、あれ・・・・何で私、そんなこと・・・」




何で、スクさんがもうすぐ誕生日、なんて思ったんだろう。

誕生日なんて1度も聞いたことはない。

ましてや、私に予知能力なんか備わっているわけでもないし・・・。


すると、ふいにスクさんの眉がぐっと寄せられた。

一気に不機嫌そうな表情に変わる。





「・・・ちげぇぞぉ」

「え・・・あ、・・・ははっ、そうだよ、ねー・・・」





否定されてしまった。

それもそうか、知るはずのない誕生日を言い当てられたら、自分で自分を尊敬するわ。


けど、何でだろう。

違う、と言われて、少し悲しくなったのは。





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