鮫誕2011

□10.
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・・・・・ごめんね・・・・。



「・・・・は・・・?」



夢を見た。

それはそれは、とてつもなく不可解な夢。

私が誰かに謝る夢。




「・・・どうしたぁ?」

「・・・いや、」



目が覚めてしまって体を起こしたら、少し離れた場所からスクさんの声が聞こえた。

部屋は真っ暗で、まぁここ地下だから朝か夜かはわからないけど。




「今何時?」

「ちょうど3時を過ぎたところだぁ」

「まだそんな時間・・・・、スクさん寝ないの?」

「う"ぉ"ぉい、俺が寝たら監視の意味がねぇじゃねぇかぁ」




まぁ、それもそっか。

と何故か納得させられた。

・・・けど、いくら変わり者のスクさんとはいえ人間のはず。

寝ないと体に悪いんじゃ・・・。




「・・・でも、少しくらい寝た方が・・・」

「余計なお世話だぁ」




ふん、と鼻をならしてスクさんはそっぽ向いたようだった。

・・・何だよ―、人が折角気を使ってあげてるのにー・・・。


そんなことを思いつつ、やはり眠気には勝てなかった私は再び布団にもぐろうとした。

その時だ。


ごめんね、という先ほど夢の中で聞いた声が再び聞こえた気がした。

もちろん、スクさんの声じゃない。

というか、夢の中では私が言ってたんだ。


暗闇でうっすらと見えるスクさんの後ろ姿を見ると、夢の中の「ごめんね」が妙にしっくりきた。

そして何を思い立ったか、私はベッドからはい出る。




「スクさん」

「さっさと寝ろぉ」

「ごめんね」

「・・・っあ"ぁ?」




何気なく言ってみただけなのに。

スクさんが、やけに反応して見えた。

・・・というか、動揺したというか・・・。




「・・・何、謝ってんだぁ・・・」

「・・・・何でだろ」



何で謝ったのか、なんて私にもわからない。

・・・やっぱり、寝ずの見張りをさせているから、なのかな。

でもそう考えても違和感が拭えなかった。

・・・だとすれば・・・?





「・・・スクさんの、」

「・・・・・?」

「・・・スクさんの後ろ姿が、・・・何か・・・・・」





寂しそうに、見えた気がしたから。


そう言いかけて口を閉じた。

寂しそう、って。

何でそう思ったんだ私・・・。


私が何も言わないのを不思議に思ったのか、スクさんがこちらを覗き込んでくる。

相変わらず眉間に皺よせて、難しい顔してる。




「・・・何でもないっ!!」

「んだそりゃぁ・・・」

「寝よっと、スクさんも眠くなったら寝ちゃっていいよ」

「それはてめぇが決めることじゃねぇぞぉ」

「いいのいいの!!」




多分、スクさんが思ってるほど事態は深刻なものじゃないんだ、と。

何故かそう思っている自分がいた。

だからスクさんにも休んでほしくって。


・・・・まぁ心配するような義理はないんだけどさ。





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