鮫誕2011

□08.
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それもこれも全部お前のせいだ。

とかなんとか思いつつ、私は目的の物を拾い上げた。



「はい」



1日ぶりに足を踏み入れた自室。

まぁ当たり前の様に何ら変化はないんだけど。


机の上にぽんと置かれていたリングをスクさんに渡した。




「で、釈放?」

「釈放って、お前なぁ・・・」

「だってもう用はないでしょ?」

「・・・いや、少なくとも1週間は様子見だなぁ」

「1週間ーっ!!?」




何てこった・・・。

これでようやく解放される、と思いきや。

様子見だとか何だとかであと1週間はあの場所で過ごさなければならないらしい。


はぁ、とため息をつきながら部屋のカレンダーに目をやった。

今日は3月6日だ。




「・・・スクさんも大変だねぇ・・・」

「あ"ぁ?」

「こーんな子供の監視役なんてさぁ、何の事情かはよくわからないけど、仕事なんでしょ?」

「当たり前だぁ、じゃなきゃ誰がてめぇなんかと1週間も・・・・」




とそこまで言って、スクさんは口を閉じた。

しかも何やら気まずそうな顔をしている。


・・・って、そんなに私といるのが嫌なのか。

そりゃまぁ見ず知らずの人間と寝食共にするなんて嫌じゃない方がおかしいけどさ。




「・・・とにかく、もう用は済んだ、戻るぞぉ」

「あ、待って!」

「何だぁ?」

「服とか下着とか、持ってっていい?」




眼帯美女には悪いけど、さすがにそこまで面倒見てもらうわけにはいかない、と思った。

まぁ、リング拾った時点で私にも否はあるわけだし・・・。




「・・・好きにしろぉ」

「好きにしまーす」




呆れたような声だったけどスクさんは了承してくれた。

あぁ、しばらくこの部屋ともお別れかぁ。

ま、そんなに長い間いなくなるわけじゃないけど!

1週間の辛抱だ。




「・・・そういえば、結局私がいない間どうやって・・・」

「教えねぇ」

「えー何でー」

「つーか説明するのがめんどくせぇ」




長い髪を耳にかけながら、スクさんは遠い目でそう言った。

・・・いやいや、何だよめんどくさいって。


そう思いつつもスクさんが手を差し出してきたので、そろりと手を重ねる。

荷物もしっかりまとめた。

よいしょ、と鞄を肩にかけ直したのを確認すると、またスクさんに抱えられる。





「行っけー!!」

「う"ぉいっ!!俺を何だと思ってんだぁ!!」

「え、移動手段?」

「う"ぉ"ぉぉいっ!!!」




あっけらかんとして思ったままを口にすればスクさんが吠えた。

そのくせちゃんと私を抱えてくれている。


優しいのかそうじゃないのか。

何だかんだ言って、私の拾い物は出会いのきっかけを与えてくれた。





「そういえば、スクさん何歳?」

「・・・・・・忘れた(・・・言えるわけねぇ・・・)」

「忘れるような年じゃないでしょー、あ、私が当ててあげよっか?」

「おぅ」

「えーっとー・・・・23くらい?」




(・・・・・素直に喜べねぇ・・・(←実年齢32))





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