鮫誕2011
□07.
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「う"ぉ"ぉいっ!!起きろぉっ!!!」
「ぎゃっ!!?」
ばさぁっ、と布団を剥がれ叩き起こされた。
・・・あぁ、そういえば昨日色々あったんだっけ。
重たい瞼を開ければキラキラと綺麗な銀色が見えた。
「うっはぅ・・・美人さん・・・」
「う"ぉい、何寝惚けてやがる」
「ん・・・?・・・・あ、スクさんか」
徐々に思考が回りだして、目の前にいたのはスクさんだと理解した。
いやね、銀色の長髪とかさ、寝惚けてたら綺麗なお姉さんにしか見えないんだよ。
ふわぁ、と1つ欠伸をすれば、乱暴に服を投げ渡された。
「これからてめぇの家に行く、さっさと着替えろぉ」
「・・・・・・はい?」
「う"ぉ"ぉいっ!!!いい加減目ェ覚ましやがれぇっ!!!」
あーもう朝からうるっさいなぁ。
と思いながら、先ほどスクさんが言った言葉の意味をようやく理解した。
・・・家に行く、って・・・帰れるってこと?
「ちょっ・・・そういうことは早く言ってよっ!!」
「寝惚けてたのはそっちだろうがぁっ!!」
スクさんが投げつけた衣類に手をかけつつ、大音量の叫び声に耳を塞いだ。
何はともあれ家に戻れるんだ。
「・・・っておい」
「あ"ぁ?」
「まさか着替えまで監視するつもり?」
「ばっ・・・んなわけあるかぁっ!!」
目を細めつつスクさんを伺えば何故か逆ギレされた。
「早くしろよなぁっ!!」と怒鳴るなり足早に部屋を出ていったスクさんの後ろ姿を唖然として見つめる。
・・・大人なのか子供なのか、一体どっちなんだろう。
────────
スクさんに抱えられ、私は家へと向かった。
なぜか家の場所を知られていたけど、もうそんなことで一々驚いていられない。
1日ぶりに見た我が家は、何ら変わってないのに何故か懐かしく感じた。
「で、私もう帰っていいの?」
「・・・いや、・・・リングをとってこい」
「リング・・・?・・・あぁ、あの青いやつ」
家の様子が伺える位置の物影で身を潜める私とスクさん。
・・・って何で家の住人である私がこんなコソコソしなきゃいけないんだ。
とか何とか思っていたら、ふいに人影が現れた。
「遅かったですね、スペルビ・スクアーロ」
「はっ、こいつがいつまでももたついてやがったからなぁ!」
「・・・って、私のせいっ!?」
責任転嫁されたことに反論しつつも、新しく増えた登場人物を見上げる。
・・・何か、変な髪形。
左右で目の色が違うし・・・。
と、あまりにも見つめすぎていたせいか、その人の視線がスクさんから私へと移された。
「貴女もとんだ災難でしたね、せめて監視役がこんな物騒な男ではなく僕のような紳士であれば・・・」
「う"ぉ"ぉいっ!!物騒ってなんだぁっ!!つーか自分で紳士とか言ってんじゃねぇっ!!」
「おや、そんなにムキになるのは図星だからでしょうか?」
「てめぇ・・・あとで覚えてろぉっ!!」
・・・・やばいスクさんが子供にしか見えない。
もちろん言ったら言ったでまたややこしくなるから思うだけに留まるけど。
「・・・・で、何も問題はねぇのかぁ?」
「えぇ、既に彼女は外出したことになってますよ」
「そうかぁ・・・よし、澪、行くぞぉ」
「え、・・・う、うん!!」
何だかよく話がわからなかったけどとりあえずスクさんの言う通りにしようと思った。
一応変な髪形の人に一礼して、スクさんの後を追う。
再び抱えられれば、スクさんはいとも簡単に私の部屋がある2階の位置まで飛びあがった。