鮫誕2011

□06.
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「そういえばっ!!」

「あ"ぁ?」



逆戻りしたあの部屋にて。

特にすることもなく携帯いじってたらふと大変なことを思い出した。




「私が帰れないことって、親は知らないんじゃ・・・」

「あぁそのことかぁ・・・心配すんなぁ」

「何か対応してるの?」

「まぁなぁ」




さっきからあの剣を磨いているスクさんはそれ以上何も言わなかった。

「詳しく聞かせてほしい」と頼んだが「だめだぁ」の一点張り。

何だよ何だよ、当事者は私なのに。


む、としながらもやっぱり教えてくれなさそうで、私は再び携帯の画面に目を落とした。




「あ、・・・」

「どうしたぁ?」

「・・・いや、何でも・・・」




ふと目に飛び込んできた文字に思わず声を上げた。

携帯でも見れるインターネットのサイトにあったニュース。

「殺人」と「並盛」の2文字。


私は即座に昼間あった出来ごとを思い出した。

チラ、とスクさんの方を伺えば、何食わぬ顔で作業を続けている。


・・・多分、スクさんが・・・。


そう思ったけど、それ以上は何も考えないようにした。

不思議と怖いとかいう感情はなくって。

それは多分、スクさんが「そういう人間」だっていうことを薄々気づいている自分がいたから。




「・・・そういやぁよぉ、」

「ぅえっ・・・何・・・?」

「・・・そんなに驚かなくてもいいだろぉ」

「あはは、ごめんごめん」




いきなり声を掛けられてびっくりした。

まぁ考え事が考え事だっただけに・・・。


と、ふいにスクさんは剣を床に置いて立ちあがるとこちらへやってきた。

ガタ、と椅子を鳴らし私の隣に腰掛ける。




「まだ名前聞いてなかったなぁ」

「あ、・・・あぁ、名前・・・」

「何ていうんだぁ?」

「平野澪と申します」

「う"ぉい、何急に改まってんだぁ」

「いや、何となく」




まぁ今までさんざん失礼かましといて今更だけどさ。

なんて思いつつ、改めて自己紹介なんて気恥かしくって小さく俯いた。




「・・・今日はもう疲れただろぉ?」

「・・・まぁ、」

「もう寝ていいぞぉ」



そう言われて、ふと顔を上げればベッドが1つ目に入った。

・・・てゆうかベッド1つしかない。

あれ、スクさんは別室かな。




「監視は?」

「あ"?・・・あぁ、監視はさせてもらうが・・・」

「スクさん寝ないの?」

「眠くねぇ」




ふーん、そっか。

と思って、私はお言葉に甘えることにした。


・・・・はっ・・・!!




「襲わないよねっ・・・!?」

「う"ぉ"ぉいっ!!てめぇはいちいち一言余計だなぁっ!!!」

「いえ、念のために」



誰が襲うかぁっ!!!

というスクさんの声が静かな部屋に響いた。




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