フォーリンガール

□07
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暇つぶしにでも。

と思い、ヴァリアー邸内を散策していましたら。



「・・・・・・すっご」



とんでもないものを見つけてしまいました。


私の数十メートル先を行くどっかの誰かさん。

ここでは初めて見る人物のようなんだけど。




「・・・何だあの髪形・・・」




私が目を奪われたのは、その人物の髪形。

何と言うか、あれは・・・・



「・・・・ぱいなっぷる・・・」



・・・にしか見えない。

いや、初対面の人に対して失礼だとは思ってるよ?

ってゆうか対面はしてないけどさ。


けど、あれは・・・

どう見てもぱいなっぽーに長い蔓が生えたようにしか・・・・。


と、その時だ。

こっそり後をつけていたのに、急にその人物が止まった。




「・・・やば、気付かれたかな・・・」

「誰にです?」

「誰って、あのなっp・・・ひぎゃあああぁっ!!!?」




振り返れば、さっきまで数十メートル先にいたはずのなっぽーが目の前にありました。

ちょ、気配消して近付かないでほしい!

てゆーか何その笑顔怖いっ!!




「クフフ、なっp、何です?」

「いやそこまで忠実に再現しなくても」

「・・・まぁいいでしょう」



変な槍みたいなの突きつけられて一瞬びびったけど、何か勝手に自己解決してくれたお陰で助かった。

この人もヴァリアーの人なのかな。

とか思いながらその人を見上げていれば、あることに気付いた。

・・・目の色違うし。



「・・・すいません、ちょっと聞いていいですか?」

「何です?」

「・・・貴方って人間ですか?」




いや、まじでそう思ったから聞いたんだけど。

だって目の色違うし、なっぽーだし。


そりゃ失礼だったと思う。

私の礼儀がなってないのはしょうがない。

でもこの変な場所に来て妙な耐性がついちゃったわけで。


・・・だからって、この殺気はどうかと。




「クフフ、どうやら、貴女には躾が必要なようですね」

「ちょ、武器はずるいですって!!」

「なら貴女がその手に持ってる趣味の悪いナイフは何ですか」

「は?・・・・おわっ!!いつの間にっ!!?」




言われたから右手を見てみれば確かに変なナイフ握ってた。

・・・ん、何か見覚えあるぞこのナイフ。




「・・・あぁナリプリのか、何で持ってんだろ」

「どうやらヴァリアーにまた問題児が増えたようですね」

「え、あんなのと一緒にしないでくださいよ、そもそも私ここにはいるけどヴァリアーに所属してるわけじゃないですし」

「おや・・・?それはそれで珍しい」




クフフ、とかわけのわからない笑い方をするその人がいい加減怪しく思えてきた。

うん、変な人には関わらない方が身のためだ。

・・・って、ここにいる時点で今更だけどさ。




「それじゃ私はこれで・・・」

「ちょっと待ってください」

「な、何ですか」



その人に背を向けて即刻立ち去ろうとすればくわっ、と肩を掴まれた。

何なんだよー、私なんか相手にして楽しいのかこのなっぽーはー。

・・・うわ、ちょっとカエルの語尾伸ばす癖移っちゃってんじゃん、あーやだやだ。




「クフフ、面白い女性ですね」

「いやだから別にウケ狙ってるわけじゃ・・・」

「気に入りました、僕は六道骸と言います、貴女のお名前は?」

「うわ、こんなに潔いナンパ初めてですよ」

「そうですか、では貴女も潔くお名前を・・・」

「いやわけわかんないんですけど」




何この人っ・・・!!

ぶっちゃけ顔は上の上だ。

そりゃまぁイタリアだし、そういうことなんだろうけど。

けどさぁ・・・。

・・・何か、オーラというか雰囲気というか、あまりにも変態チックな匂いがするのは気のせいでしょうか。


・・・・こういう時は、




「・・・さようならっ!!!」




ひゅんっ、と風を切って私は走りだした。

先手必勝逃げるが勝ちっ!!

あれ、何かこの間も似たようなことがあった気がしたけど。


とか思っていたらぐんっ、と視界が揺れた。

というか腕を引っ張られた。




「・・・クフフ、逃がしませんよ」




・・・・・・・怖ぁぁぁあっ!!!

ちょ、初めて本当の恐怖を味わった気がする。

ストーカー被害に遭う女の人の気持ちがわかったよ。

これは確かに恐ろしすぎる。




「離せぇぇえっ!!!」

「嫌です、何せ僕は貴女に興味を・・・」

「私はあんたに興味なんかないっ!!」

「おやおや、今はやりのツンデレというやつですか?クフフ、嫌いじゃありませんよ」




なんつーポジティブシンキング・・・!!

ある意味尊敬した。

・・・いや、それどころじゃない。


何でこんなイケメンが私に興味持ったのか知らないけど、仮にも初対面にこんな強引なことするとかやっぱ頭の出来は見た目通りらしい。

と、その時だ。




「・・・・何してるんですかー」

「か、カエルっ・・・!!」

「おや・・・・」



間の抜けた声が聞こえた。

かと思うと、私の腕を掴んでた手が一瞬緩んだ。

隙をついて、私はその声の元へとかけよる。




「カエルーっ!!」

「・・・・・・・」




これぞまさしく感動の再会・・・っ!!

普段はうざったいけど、こういう時は恋しくなるっていう、天邪鬼なあれだ。


とか何とか思いつつカエルに飛びつこうとすれば、

ひょい、

と避けられた。

その勢いのまま、すてーん、と転ぶ私。

・・・・痛い。




「カエルっ!!何で避けんのっ!?」

「それしか選択肢がなかったんでー」

「このやろう」

「・・・てゆーかー、何で師匠がこんなとこにいるんですかー」

「・・・え、師匠・・・?」



今言った、確かに言った。

カエルが、あのなっぽーのことを「師匠」だって。

・・・・・・何の?

相変わらずなっぽーは「クフフ」って笑ってるし。

何なんだよさっきからその笑い方。




「師匠、って・・・」

「香奈さんが気にすることじゃないですー」

「いやまぁ、そうだけど」

「そういう貴女は僕の弟子の何なんです?」




まさかの逆返し!!

質問されるとは思わなくって、「何なのか」と聞かれてぱっと答えが出てこなかった。

いや、そもそもその聞き方なんだよ。



「大丈夫です、別に恋仲とかじゃないですから」

「ほう、・・・ということは」



ツカツカ、と歩み寄ってくるなっぽー。

げ、と後ずさりつつ、彼の行動を見ていれば。


ふぁー、と彼の手元に藍色の霧のようなものが漂い始めた。




「僕にも、チャンスがある、ということですね?」

「は・・・?」



何言ってんだこいつ。

と思いながら再び彼の手元を見てみれば、さっきまで無かったはずの赤いバラの花束がそこにあった。

・・・えぇぇっ!

何どうなってんのっ!?

こいつマジシャンっ!?




「ってことは、カエルっ・・・」

「何ですかー」

「あんたもマジシャ・・・」

「違いますー」




言いきる前に否定された。

違うのか、じゃあ何だよこれ。


と思っていたら、ふと見たカエルの表情が心なしかむっとしているように見えた。

・・・いや、基本的に無表情には変わりないんだけどさ。




「てゆーか師匠ー、自分で必要以上のことに術を使うなーとか言っといてー」

「クフフ、僕と貴方とでは格が違いますからね」

「・・・あーなるほどー、確かにーミーだったらバラの花束なんてベタなもん使いませんしねー、格が違いますねー」



グサッ



「げろっ」

「ぅおわっ!!?」




ぼーっと2人の陰湿な言い合いを聞いていたら、突然カエルの被り物をあの槍が貫通した。

いきなりの光景に思わず変な声あげちゃったじゃんか・・・。



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