宝物

□久音様より相互記念小説
1ページ/1ページ


女主の名前は久音様サイトの有里奏になっています。



3月下旬、ラウンジにて。



「荒垣先輩!これをどうぞ。」
「…スイートポテトか。」

美味しそうなスイートポテトを持って奏はニコニコしている。

「今日、料理部で作ったんです、食べてみて下さい!」
「……。」

断る理由も無いので躊躇わずそれを口に入れる。

「…美味いな。」
「本当ですか!?」
「嘘ついてどうすんだよ。」

本当に美味しかった、そう荒垣が続けると奏は問いかけた。


「…何が入っているか知りたいですか?」
「いや、別に…」
「そんなこと言わずに!何が入っているのかって聞いてください。」

(何でそんな真剣なんだ…。)

やはり、奏だけには弱いようで、押し切られ渋々聞いた荒垣だった。

「……で、何が入ってんだ?」

荒垣がそう言うと、奏は笑顔で、
「お酢と野草と江戸川先生からもらった劇薬を少々。」

「そんなもん食わせんな!特に最後!!」

「先輩、大丈夫です。冗談ですって。」
「冗談でも言うなよ心臓に悪りぃ…。」

荒垣が軽く睨むと奏は笑いを堪えながら謝る。

「ご、ごめんなさい、そんなに驚くとは思わなくて。」

「……チッ…。」

バツが悪そうに舌打ちをする荒垣を見て、奏はイタズラっぽく笑う。

「その代わりに教えてあげますからもう一つの特別な材料。」
「……何入れやがった。」
「何だと思いますか?」

(驚かそうとしてんのか…けど劇薬以上にインパクトがある物あんまねぇだろ…。)

「……分かんねぇ。」

「愛ですよ。」

「…はっ!?ばっ馬鹿!!」
「これは本当ですから!」

それだけ言うとバタバタと二階へ続く階段を駆け上がって行った。
「あ、おい!…ったく……アホなことばっか言いやがって…。」


そういう荒垣の顔が赤くなっていることに気付かないのは当事者達だけだった。




「アイちゃん、聞き取れたか?」

「あまり聞き取れませんでしたが…。」

「…アイちゃん?」

「ただ…前に順平さんから教えて貰った『バカップル』というものに似ていますね。」

「…アイちゃん…本当に成長したな…。」




fin

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ