gift&present2


□*お互い様でしょ。
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「最近薫がみんなの前でボール投げれるようになって」
「……ほう」
「そんで監督からも高評価で」
「………ほう」
「練習付き合ってた甲斐が出てオレも嬉しくて今度お祝いの打ち上げしようって」
「…………最近、水野の話題が多いな」
「へ?」


お互い様でしょ。





先輩と帰る時は、だいたいっつーかいつも部活の話題になる。先輩は青葉さんと良い試合をしているらしい。それが腹立つ。いや、腹立つっていう言い方はちょっと間違ってる。妬いている。青葉さんに。部活の時間はバラバラで、オレ達は一緒じゃないから。それが羨ましい。でもオレにも新しいチームメイトが出来た。薫だ。良い球を投げてくれる彼奴はこれからチームの支えになれる。だから恥ずかしがり屋なのも治してやりたい。みんなの前で放れるように。そして、それが叶いつつあって。嬉しくて、先輩にも聞いて欲しくて。

「それで薫の奴がまた恥ずかしがってー……」

先輩が青葉さんと一緒にいる時はオレはツナや薫といる。それで帳尻を合わせているつもりだった。寂しくなんか、ないと。ごまかしていた。本当は、授業もそっちのけで先輩といたいんだけど。それが叶わないから。


(独占したい、)


一緒に帰って、分かれ道に来るまでしゃべって、いるんだけど。話してないと泣きそうだから。
でも、何か今日は。先輩の様子が。変。

「……あの、オレ、何かしました?」
「うん?」
「だって、先輩、あの」

怒った顔、してる。ううん、拗ねた顔だ。これは。何だろう、オレ、何してしまったんだろう。

「寄っていけ」
「え、あ、はいっ」

寄っていきませんかと言おうとした矢先に誘われて、一も二もなく頷く。断る理由なんてない。オレ達はいつも、どっちかの家にお泊まりしてるのが常だから。私物も持ち込んでるし、学校の教科書はちょっとひとっ走りして取りに行けば十分間に合う。近所って、こういう時嬉しい。


(先輩、拗ねてない?)


ちょっと不思議に思って、その横顔を眺めて。着いて玄関の戸を閉めたら、抱きすくめられた。え、え、え、何。これ嬉しいけどどうしたの先輩ちょっと落ちついていやオレがまず落ち着け。いやいや無理。落ち着けない。だって、先輩。――――俄然ヤる気(何でわかるかはオトコノコの事情で)。ちょっと待って、ここ玄関! 笹川妹とか家の中いねーの!? いたらオレ泣けるよ。恥ずかしくて。

「……せ、せんぱい?」
「最近口を開けば水野水野……」
「はい?」
「極限嫉妬した」
「え」
「ここでスるぞ」

え。
それは何ですか、ここで致す訳ですか。ちょっと待って!

「先輩、ここ玄関」
「知ってる」
「鍵……」
「かけた」
「笹川妹が」
「京子なら黒川とか言う友達の家だ」

砦でもあった存在がなくなって、オレ大パニック。わたわたしてるのを、先輩にキスで黙らされた。

「ん……」

あ、やばい。オレも反応しそう。つか好きな人のこんな姿見せられて、その気にならなかったら男じゃないと思う。


(うわ、ベッドじゃないのに、シちゃうの、)


「武」
「……りょうへい、さん、」

そんな潤んだ目でオレを見ないで。欲情するから。
そんな綺麗な手でオレを触らないで。煽られるから。
そんな熱い身体で触れてこないで。本気になるから。


(声、我慢できるかな、)


嫉妬はお互い様なのに、最後に考えられたのは、そこまで。





I pray you follow happy days.
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