まふぃあ達の日々。4
□発射オーライ。
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「山本とのえっちってどんなですか?」
「――――っ…………」
コーヒーを噴いてしまった。
発射オーライ。
極限に何故そんなことを聞かれなければいけない。その答えは知りたいから。泣きたくなった。なんだ今日の沢田は。部下に絡みたい衝動でもこみ上げているのだろうか。それはそれは迷惑だ。俺は呼び出されてボスの執務室に来ただけなのに。そういえば、家庭教師の姿が見えない。
(いない間を狙ったな、)
こんな事を聞いていたら鉄拳ものだろう。何せ彼の恋人は目の前のボスだ。そんなことを思いながら汚してしまったローテーブルを拭く。スーツには……被害がない。良かった。
「いない人間のうわさ話は感心せん」
「うわさじゃありません、実際の話」
「余計ダメだろう」
「聞きたいー!」
ボスが駄々をこねた。どうしてくれよう。どうでもいいのだが、これを放っていって後で家庭教師に愚痴をこぼされるのも俺なのだが。
「……極限どうして聞きたがる」
「…………サせてもらえなくて」
「…………」
いかん、一気に同情が湧いた。
「だから、どういう風に誘ったらノッてもらえるのかとか、知りたくて」
「俺達を基準に考えてどうする。相手が違うだろう」
「そうなんですけどー! うわーんリボーン! 何でだよー!」
理由は何となくわかる。ボンゴレのプレミア血統だ。体温を知ったら、辛くて離れがたくなるだろう。だから一線を置いている。そうとれる。
「……ちゃんと話し合え」
「うう」
そう言う所で、意思の疎通がまだできてない。リボーンは身を引くつもりで居るのだろう。それを知る所から、ボスは恋愛を始めなければ行けない。
「……いない相手の話がダメなら、山本ー、居るんでしょー?」
「ん?」
「……あはは、ばれた?」
ドア越し、声を掛けるボスに何事かと思ったら。山本が隠れていた。悪びれもせずに出てくる姿を見て、嘆息。こいつは俺がどこかに呼び出されるとついてくる癖がある。
「沢田に何かされるわけもなかろう、どうしてそうついて回る」
「そうはそうなんですけどね、だって、心配だし」
心配――――その言葉で、俺は黙らされる。心配される側なのだ。俺の方が。山本は、強い。身体能力的に。心はまた別だけれど。
(しかし、これでは、)
沢田の質問に答える要素ができてしまったのではないか?
「ねーねー山本、お兄さんって夜どんな?」
「うーん、えろい」
「帰るぞ」
「あ、先輩待って」
ローテーブルも拭き終えたし、これ以上長居は無用だろう。さっさと山本を連れて帰るに限る。
ばいばい、と手を振る沢田が楽しげで、やっぱり楽しんでいたんだなと遅まきに気付く。……だからからかわれるんだ俺は。全く。
「せんぱい、せーんぱい、腕、腕痛い」
「あぁ、すまん」
山本を捕まえていた腕から力を抜く。するりと抜けた腕は、そのまま俺の隣へ。
(ねぇねぇ先輩、シたい)
「――――っ」
本日二度目の咳き込みに、山本に本気で心配された。
どうにも今日は格好が付かない日らしい。嫌な日だ。
「せんぱい、ホントに大丈夫ですか?」
「あぁ……」
どうしてこう、一個下なだけで天と地ほどの羞恥心の差があるのだろう。山本だって、行為に積極的ではないのに。
「だって先輩、ツナと仲良くコーヒーなんて飲んでるんですもん。妬けた」
「はいはい」
かわいいお誘いは俺の仮眠室で最後まで聞こう。それまでは、その可愛い口は塞いでいておくれ。
I pray you follow happy days.
20120710 R
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