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□君のいない海 story1
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沖縄の海が煌めく、俺はそれをずっと見ていた。
でも、隣にいる暖かい存在は……

――――――もうない。


『君のいない海』  story1
   {出会いと別れはこの海で}


「なんだよ綱海、こんなところに呼び出して」

俺は音村楽也、大海原中サッカー部のキャプテン兼司令塔をしている。
好きな音楽は[青春おでん]。結構いいよね、あの曲。知らない……? 動画サイトにあるから聴いてみるといい。
好きな場所は、俺の住むところの市街地にある深い青の海。
そこに、同じ部のルーキーである綱海条介に呼び出された。そこにあったのは、いつもとは違う真面目な表情。
そして――

「悪い、音村。オレは円堂と一緒に、エイリア学園を倒しに行く!だから明日、沖縄出るから」

とても残酷な――

「じゃあな、音村」

別れの言葉。
とても短い君との思い出が、俺の中でフラッシュバックした。





「トゥントゥクトゥントゥク―……」
「あ、もしかしてあんたか!?サッカー部キャプテンって」

出会いは、綱海からの質問。それに頷いたのが全ての始まり。
夕日でオレンジ色に染まった海を眺めながら、リズムを刻んでいた。それを乱したのが綱海、あいつだった。

「なあ、オレをサッカー部に入部させてくれよ!」
「トゥントゥクトゥントゥクトゥントゥクトゥントゥク―………」
「だーかーらー! 聞けって」
「トゥントゥ………」

いきなり顔を近づけてきた綱海に、女みたいにドキッてした。
とある曲を好きになるのやサッカーをしているときとは違う、愛しいという感情。

「…………好き」

愛の言葉、それは波の音にかき消された。




それから俺は、綱海をサッカー部に入れた。近くにいたかった、近づきなかった、愛したかった、愛されたかった。

「嘘だろ綱海、嘘だよな……そうだって「嘘じゃない。音村、オレ頑張るから!エイリア倒すために頑張るから!」

倒せなかったら、多分一生会えない。
また、一緒に試合ができない。
そう思うと涙が伝った。そしてその場に膝を突いた。
エイリアなんて倒さなくていいから………側に居て、喉まででかかった言葉を飲み込む。




――始まりはこの海。
――恋をしたのもこの海。
――別れも、この海
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