main 2(ツナ京)

□キラキラ
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『京子』
大好きな彼が私を呼ぶ声。穏やかで温もりのある呼び方に、心臓が跳ねた。嬉しくて、誇らしくて思わず頬が緩む。

『なあに、ツっ君?』
こちらを向いた君は嬉しそうに微笑んだ。笑顔が愛おしくて、可愛くて…身体が溶けるかと思った。
『俺、来月の28日に休みとれそうなんだ。一緒にどこか行かない?…って俺の顔、何か付いてる?』
ニコニコと俺の顔を見てくれるのは嬉しいんだけど…やっぱり照れ臭い。

『ううん。…何かね、今、ツっ君が初めて私の名前を呼んでくれた時のこと思い出したの』
首を傾げたツっ君。その瞳は綺麗な琥珀色で。私は何度もこの瞳に恋してしまう。
『さっきのね、あの時の呼び方に似てたよ。』
『なっ。呼び方って…そんないつも違う?』
『うん!』
『そっか…』
俺からしたら一緒のつもりなんだけど。。女子ってやっぱり不思議だなあ。
チラリと隣を窺うと、彼女は機嫌良さそうに笑っていた。
主旨はだいぶズレてったけど…君は楽しそうだし、俺も楽しい。

微笑んで車のハンドルを握り直した彼をこっそり見つめる。
すっかり大人びた彼だけど、あの頃の幼い笑顔も思い出してしまう。
あれは…付き合って1年目の私の誕生日。
照れる彼に、【名前を呼び捨てにして欲しい】とねだった。だって、他の女子は呼び捨てなのに、自分は"ちゃん”付けなのが寂しかったから。
りんごみたいに顔を真っ赤に染めて。それでもちゃんと目を見て、優しく呼んでくれた彼を、一生…大事にしたいと思った。
『ツっ君、私、デズミーランドに行きたいな』

彼女が頬を染めながら言った場所。そこは…
『初めて2人きりでデートした場所だね』
沈みゆく夕陽をバックに【また、一緒に来ようね】って約束したんだ。
『いいね、デズミーランド』
『でしょ?何着ようかなあ』
ニコニコする彼女に1ヶ月先だよって突っ込む。
来月…5月28日は交際満5周年記念。この先何度も、その日を祝える2人でありますように。俺はそっと願った。
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