僕は奇跡に恋してる

□T
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その日は、朝から重苦しい灰色の雲

降りそうで振らない、ジメジメしたいやな天気



いっそ降ればいいに


机に頬杖をつきながら、浅間優希はそう思った



どんよりとした雲を見つめる

今すぐ大雨が降ってもおかしくない


こういう日は気分が優れない



優希は、はぁ、と軽く溜息をついた




そして、何気なく校門のほうを見た
(校門が見える教室)


遅刻生たちがぽつぽつといた



「!」


優希は自分の目を疑った

その遅刻生たちの中に、一人、他とは雰囲気の違う人がいた


金色っぽい髪

制服の着こなし

立ち振る舞い


全てからして、明らかに凡人ではない


男子生徒のようだが、違う気もする

それは、その者の威圧感がそう物語っている



優希は身を乗り出し、もう一度確認した



「優希?」


その時、前の席の雪宮直弥が優希の事を呼ぶ


「! ん? あ、どうした?」

「お前、なに見てんだ?」


急に立ち上がった優希に対し、不思議そうな目で見る


「…外に、なんか…」

「外?」


そういうと、直弥も身を乗り出し、校門のほうを見る

見たものの、これだと思えるものがなかったのか、優希のほうを向いた


「なんかあるのか?」


そういわれ、優希はもう一度見た


けれど、もうさっきの場所に彼の姿はなかった

おかしいと思って辺りを見回すが、彼は見当たらない


「あれ…おかしいな」

「何がいたんだよ」


「あぁ…なんか、不思議な奴が…」

「不思議な奴? んだよ、それ」


俺だって知りたいよ

優希はそう思った


いや、優希こそ彼の何処がおかしいとか、ハッキリと言えるわけではないが
何か普通の人とは違う気がする

ただそういう気がしただけで、彼の本性が分かるはずもない

気のせいだったのかと思いつつ、優希は直弥に向きかえる



「にしても嫌な天気だよなぁ」


直弥が話を変える

優希は適当に、あぁ、と返事を返す


おかしいと思ってもう一度外を見たが
やっぱり目的の人物は見つからなかった


 
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