昨夜までのことを整理しよう。
眉間の皺を伸ばすように、親指でぐいぐい押さえながら、スコールは瞳を閉じた。

昨日はクラウドと散歩に出て、一緒に素材集めてショップに行って。クラウドは何かを手に入れたらしくご機嫌になり、俺はそんなクラウドの顔をみてちょっと‥こう、色々と来てしまい。木陰でと思ったらクラウドに殴られ、仕方ない夜まで我慢しようとしていたら突然アルティミシアが「ご褒美です!」とか言いながら変な魔法をクラウドにかけて…

「…それか!!」
「みゃあ?」

膝の上でタオルに包まった金色の生物。もとい、手の平サイズになってしまった上に耳に淡いクリーム色の猫耳。同じ色の尻尾も生えてはいるが、間違いなく愛しの俺の恋人クラウドが大きな瞳をパチパチと瞬かせる。
不思議な青を宿した瞳、特徴あるハニーブロンド、白い肌。それに、俺がクラウドを見間違える筈がない。それが、姿は可愛らしくなってしまっても、俺がこの可愛らしい生物をクラウドと判断した理由だ。

彼の洋服は昨夜脱がせたままテントの奥の方にある。とてもじゃないが着せられないので、今は布を巻いているのだが…。

「クラウド。寒くはないか?」
「みゃッ!」

コクリッと頷いたクラウド。やばい、鼻がなんか熱くなってきた。
スコールは必死に自分の身体によじ登ってきたクラウドを片手で捕まえると、そっと自分の肩の上に乗せる。

「とにかく。早く元に戻さないとな?」
「みゃあ!」


『仔猫パニック』


「へぇ〜それクラウドなんだ。」
「それって言うな。」
「にゃッ!」

両手を首の後ろに回し、珍しそうに眺めるバッツを4つの瞳が睨む。
バッツはクスクス楽しそうに笑いながら、スコールの首元で大人しくチョコンっと座るクラウドの髪を撫でてみた。

「にゃッ!!」
「あ痛ッ!!」

姿が仔猫と言えど中身はクラウド。動物扱いされたことに腹を立てたらしい。彼は鋭い爪でバッツの手を引っ掻いた。
痛みに涙目になったバッツは、みみず腫れになってしまった手をさすりながらスコールとクラウドを交互にみて首を傾げる。

「まあ、いいけどさ。それで何で二人は俺のとこに来たんだ?」

まずライトとかフリオのとこ行った方がよくね?と言うバッツ。まあ、もっともな意見と言ったらもっともな意見なのだが。

「あんたジョブマスターだろう?」
「…まさか。」

バッツは嫌な予感がした。

「察しがいいな。呪いを解いてくれ。」
「にゃッ!」
「あはははは…はは‥は」
「出来るよな?」
「せいしんせーいガンバリマス」

俺はジョブマスターであってなんでも屋じゃない!と言うバッツの言葉は、スコールの物凄く良い笑顔でカットされてしまった。怖すぎて、何も言い返せない。


******

「それで。バッツは先程から何かを作っているのだな。」
「ああ。すまないが少しばかり我慢してくれ。」
「わかった。」

普段フリオニールが食事を作っているかまどをみれば、仲間達が鼻をつまみながら大きな鍋で何かを煮るバッツに声援を送っている。
ライトはぶれることなく、スコールの首元で丸まっているクラウドを見て溜息を吐く。

「彼が外れるとなると、かなりの戦力ダウンにもつながる。早く元に戻ると良いのだが。」
「ああ‥」

スコールの首元。ファーのふかふか感に包まれながら、クラウドはすやすやと寝息を立てている。時折スコールの首元にすり寄ったりする姿は、誰がみても可愛らしい。スコールが手を伸ばし、耳を撫でてやると小さく「ふにゃ」とか言いながら満足そうに声を出す。

「スコール」
「‥なんだ。」
「先程から顔が赤いな。」
「‥‥放っておいてくれ。」


* **

「出来たぜー!!」

ババンっと出来あがったソレ。不思議なピンク色の液体が入った三角フラスコを掲げたバッツは、一気にスコールへと詰め寄る。正確には、スコールの首元で寝ているクラウドの元へ。

「これを身体にかければ万事解決☆」
「‥クラウド。起きろ、元に戻る薬が出来た。」
「‥ふにゃ?」

ぐぐっと伸びをし、クラウドが瞳を開く。
スコールが両手で優しく小さな身体を包み、バッツの前へと差し出す。

「後遺症等は」
「あり得ない!」
「そうか」

三角フラスコからゆっくりとピンク色の液体がクラウドへと落ちて行く。濡れるのが不快なのか、クラウドはその液体のかかった耳をぺろりと舐める。と、

「あー馬鹿クラウド舐めちゃ駄目だ!!」
「‥ッ初めに言え!!」

時。既に、遅し。

ボボンっとピンク色の煙が辺りを包み、そうして元の大きさに戻ったクラウド。だが、その頭には‥

「耳が‥」
「残ってる?」

ピコピコと可愛らしく動く猫耳と、同じ色の尻尾。

「な、ななななな?!」

クラウドは彼にしては珍しく大慌て。何しろ服は着てない、頭の上には耳、更には尻尾まで生えている始末。スコールは面白い動きをするクラウドに自分の上着をかけてやりながらバッツを睨む。

「‥落ちつけクラウド。バッツ、薬は?」
「材料さっきので全部使っちゃった。」

お手上げと言わんばかりに手を空に掲げるバッツ。
クラウドは瞳を大きく見開いたまま固まり動かない。スコールはそんなクラウドの身体を横抱きに抱えると歩きだす。

「少し、落ちつけてくる。」

心配そうな視線を感じたスコールが応える。

「心配なのはどちらかと言うとこれからなんだけどね」

サラリっと突っ込んだセシルの言葉は、ジタン以外は意味がわからなかった。

次の日。クラウドは頭から布を大量に被り、隣に立つスコールの右頬には大きなもみじが色づいている。

「スコールなにしたんスか?」
「…聞くな」

結局。クラウドが元に戻ったのはその数日後のことで、その間。クラウドの耳がみたいと言ってきた仲間もカオス陣の者たちも、全てスコールが追い払ったのだった。










*******


m(__)m
すみませんッ!
なんだか色々とあまあまにするハズがギャグッぽくなってしまいました;
しかし仔猫クラウドも‥確かにゴクリッですよねvv
ご期待に添えることが出来たか激しく不安ですが、ヤバい時期に励ましメールを下さったシャオ様に捧げますvv
返品可です!ありがとうございました!!

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