研一妄想小説


「蒲郡家」
2ページ/18ページ

しばらくして風太郎がそおっと家に戻って来ると、そこに母の姿がなかった。

(お母さんどこか行ったのかな。)

さっき泣いていた母を思い少し心配になった。

(あれ?)

母の居ない静かな家の奥から、何か小さな音が聞こえるのを風太郎は感じた。

『ゥ・・ ゥ・・』

風太郎が耳を澄ませると、苦しそうな小さな声だった。

(お母さん、まだ泣いてるんだ。)

母が泣いていると悟った風太郎は、そおっとその部屋に近づいて行った。

風太郎が静かに部屋を覗くと、布団を被った母がいた。

『ゥ・・・ ゥッ・・・』

(お母さん・・・・)

母は声を殺して布団の中で泣いていた。

布団の中の母の肩が時折揺れる。

そんな泣いている母に逆らって家を飛び出した風太郎は、何て話しかけたらいいのか・・・言葉を失った。

風太郎は母親に気づかれない様、部屋の外からそんな母を見守ることしか出来なかった。

(僕がお母さんの言うことを聞かなかったから泣いてるのかも知れない。)

母を思う風太郎の脳裏に、自分を責めるそんな事まで浮かんでしまう。

風太郎は母親に申し訳ない思いでいっぱいになった。

(僕がお母さんを守らなくちゃいけないのに・・・。誤らなきゃ!)

風太郎はそう決意した。



『ゥッ・・・・ ァァ。』

すると、母の声の様子が変わった。

(お母さん!具合が悪いの?)

風太郎は急いで母のところへ近づき、母に被さった布団を剥がした。

「お母さん!!」



そこには風太郎が今までに見たことのない母の姿があった。



『ア〜〜ッ・・・ ンンッ・・』

肌着を淫らに脱ぎ、スカートははだけ、開いた足の中に両腕を入れながら色っぽい顔で声をあげる母。

「おかぁ・・・さ・・ん。」

“何かいけないものを見てしまった。”そんな雰囲気は小学生の風太郎にもすぐに解った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ