研一妄想小説


「トライアングル」
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「研一君、今日も泊まって行くでしょ?」

「あ、そうしたいんだけど明日の朝田舎から荷物が届くから帰らないとダメなんだ。」

「あらそうなの。残念だわ。」

「うん。」

特にダダをこねる事もなく女はそう言った。

もうすっかりリラックスモードに切り替わってしまっている重い体を、研一は気合を入れて起こした。

「ごめんね。じゃあ今日はコレありがとう。」

研一はもらったセーターを手に自転車で帰宅した。



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(キィキィ・・)

バイトとセックスで疲れた体に、流石の研一でもこの坂はキツい。

研一は自転車から降り、勾配のキツい坂を手で押して登った。

少し疲れた研一が立ち止まって時計を見ると、2時を回っていた。

「もうこんな時間か。」

研一がまた自転車を押して登ろうとすると、音もなくス〜っと黒い車が横を通った。

そして少し先の、この辺りでは一番大きな家の中へその車は入って行った。

(あの黒い車はこの屋敷の車か。)

研一はまた自転車を押した。

右手にある大きな家を通り過ぎる時、研一は思った。

(こんな家に住む人間は、俺とは全く違う人種だろうな。)

研一はその家を通り過ぎた。

すると・・・・

突然誰かに自転車を引っ張られた。

「うっ。」

研一がビックリして後ろを見ると、そこに一人の男が立っていた。

鼻筋の通った綺麗な顔をした若い男だ。

「やあ、こんばんは。」

男が明るく研一に声をかけた。

「な、何ですか?」

研一が少し焦って言うと、

「ああ、ごめんごめん!いや、俺ここの家の人間。でさ、いつも君のこの自転車のキイキイ言う音?それが気になっちゃって。」

「あ、そ、それはどうもすみません・・・。」

「ねえ、明日もこの坂通るんでしょ?」

「は、まあ。」

「明日の朝もあの音で走られちゃうと困るんだよね〜。」

(ちょっと慣れなれしい男だ。)

研一はそう思いながら、

「あ、あの。何ですか?」

「だからさ、その自転車ちょっと見てやるよ。」

「え?そんなのいいですよ!!」

「いや、てか俺がよくないから!どうせ家帰っても油とかないんだろ?そうやって何日も放ったらかしにして音立ててるぐらいだもんな。」

「あ、まぁ。。。」

「な?すぐ終わるから入んなって。」

この大きな屋敷に住んでいるという男、竜也に半ば強引に返事させられ、研一は自転車を押しながら屋敷へ入って行った。
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