研一妄想小説


「GANTつ」
1ページ/6ページ




何だよこいつさっきっから。見てんじゃねーよ!ったく。

どこの高校だ?

あ〜、あの不良高校か。さ、シカトシカト!

さっさと家に帰って今日はこの岸本恵ちゃんのDVDだもんね。あ〜あ、早く来ねえかな電車。

「あ、あの〜。」

(ん?)

ゲ!さっきの不良高校の奴。な、なんだよこいつ・・・。

「あの〜、玄野君だよね?」

「え?」

何で俺の名前知ってんの?

俺はこのデカい男の顔をマジマジと見た。

「やっぱり玄野君だ!俺、加藤勝。小学校の時の。」

「え?加藤?」

そんな奴いたか?

あ〜、あの弱虫加藤か?信じらんね、こんなデッカくなってるじゃん。

「あ、ああ。」

「思い出してくれた?玄野君変わらないね?」

「って言うか俺忙しいから・・・じゃ。」

俺はそう言って、加藤から少し離れて電車を待った。

幼馴染なんてめんどくせっ!

「玄野君、忙しくないでしょ?電車待ってるだけでしょ?」

「チョ!」

な、なんだよこいつ。普通あそこでお終わりにするだろ?

「俺、玄野君みたいになりたくてあれから体鍛えたんだ。あの時の玄野君、ほんとカッコよかったな〜。」

「な、なんだよ。そんな話だったらいらねえから!」

「い、いや。俺、いつも玄野君に感謝してるんだ。あのままだったら俺、今頃何も出来ない人間になってたと思う。」

そ、そんなことどうだっていいよ。あ〜早く電車来ねーかな。

「玄野君これからどこへ行くの?」

家だよ、家。家帰ってこのDVDでシコるなんて言えっかよ!

「帰るだけだよ!」

「そ、そっか。」

(間もなく2番線に電車が到着します。白線の内側へ下がってお待ち下さい。)

あ〜、やっと電車来た。

「じゃあな!」

慌てて最前列の所まで歩いて行こうとしたその瞬間、

「あっ!」

俺は岸本恵ちゃんのDVDの袋を落としてしまった。

(やっべ!中身見えてんじゃん)

加藤がそれを素早く拾って、

「はい、玄野君。岸本恵が好きなの?」

と、それを渡した。

俺は乱暴にDVDをひったくって、

「こ、これは弟に頼まれて返すだけだよ!」

と加藤に言った。

電車がホームに入ってくる。

「俺の兄貴、岸本恵のDVD全部持ってたな。」

加藤がボソっと言った。

「えっ?マジかよ!!」

「あれ?やっぱり玄野君好きなの?」

「い、いや・・・。」

「ほら、電車に乗らないと。」

加藤は冷静にそう言った。

「あ、ああ。」

俺達は電車に乗った。

電車の中はある程度人がいる。俺は小声で

「なあ、マジで持ってんの?」

「うん。玄野君もやっぱり好きなの?」

「い、いや。ま、まあな、男だからな。」

「じゃあ貸してあげるよ。今から家に来る?」

「ええええ、いいのかよ!」

俺はつい声を大きくあげてしまった。

「いいよ、玄野君が見たいなら。俺の家二つ目だから。」

「おお。」

うっひょ〜。やっと手に入れたこのDVDだけじゃなくて、全部見れちゃうのかよ。

今夜は寝れねーな。

やっべ!もう勃ってきちゃったよ。

俺は少し内股に足を閉じたまま電車に揺られた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ