研一妄想小説
□「GANTつ」
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何だよこいつさっきっから。見てんじゃねーよ!ったく。
どこの高校だ?
あ〜、あの不良高校か。さ、シカトシカト!
さっさと家に帰って今日はこの岸本恵ちゃんのDVDだもんね。あ〜あ、早く来ねえかな電車。
「あ、あの〜。」
(ん?)
ゲ!さっきの不良高校の奴。な、なんだよこいつ・・・。
「あの〜、玄野君だよね?」
「え?」
何で俺の名前知ってんの?
俺はこのデカい男の顔をマジマジと見た。
「やっぱり玄野君だ!俺、加藤勝。小学校の時の。」
「え?加藤?」
そんな奴いたか?
あ〜、あの弱虫加藤か?信じらんね、こんなデッカくなってるじゃん。
「あ、ああ。」
「思い出してくれた?玄野君変わらないね?」
「って言うか俺忙しいから・・・じゃ。」
俺はそう言って、加藤から少し離れて電車を待った。
幼馴染なんてめんどくせっ!
「玄野君、忙しくないでしょ?電車待ってるだけでしょ?」
「チョ!」
な、なんだよこいつ。普通あそこでお終わりにするだろ?
「俺、玄野君みたいになりたくてあれから体鍛えたんだ。あの時の玄野君、ほんとカッコよかったな〜。」
「な、なんだよ。そんな話だったらいらねえから!」
「い、いや。俺、いつも玄野君に感謝してるんだ。あのままだったら俺、今頃何も出来ない人間になってたと思う。」
そ、そんなことどうだっていいよ。あ〜早く電車来ねーかな。
「玄野君これからどこへ行くの?」
家だよ、家。家帰ってこのDVDでシコるなんて言えっかよ!
「帰るだけだよ!」
「そ、そっか。」
(間もなく2番線に電車が到着します。白線の内側へ下がってお待ち下さい。)
あ〜、やっと電車来た。
「じゃあな!」
慌てて最前列の所まで歩いて行こうとしたその瞬間、
「あっ!」
俺は岸本恵ちゃんのDVDの袋を落としてしまった。
(やっべ!中身見えてんじゃん)
加藤がそれを素早く拾って、
「はい、玄野君。岸本恵が好きなの?」
と、それを渡した。
俺は乱暴にDVDをひったくって、
「こ、これは弟に頼まれて返すだけだよ!」
と加藤に言った。
電車がホームに入ってくる。
「俺の兄貴、岸本恵のDVD全部持ってたな。」
加藤がボソっと言った。
「えっ?マジかよ!!」
「あれ?やっぱり玄野君好きなの?」
「い、いや・・・。」
「ほら、電車に乗らないと。」
加藤は冷静にそう言った。
「あ、ああ。」
俺達は電車に乗った。
電車の中はある程度人がいる。俺は小声で
「なあ、マジで持ってんの?」
「うん。玄野君もやっぱり好きなの?」
「い、いや。ま、まあな、男だからな。」
「じゃあ貸してあげるよ。今から家に来る?」
「ええええ、いいのかよ!」
俺はつい声を大きくあげてしまった。
「いいよ、玄野君が見たいなら。俺の家二つ目だから。」
「おお。」
うっひょ〜。やっと手に入れたこのDVDだけじゃなくて、全部見れちゃうのかよ。
今夜は寝れねーな。
やっべ!もう勃ってきちゃったよ。
俺は少し内股に足を閉じたまま電車に揺られた。