研一妄想小説


「トライアングル」
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「うわ!頭イタっ。昨日の酒がまだ残ってるぜ。」

竜也は眠い目を擦りながらいつもの様にシャワールームへ向いながらそう言った。

酒に混ざった汗をゆっくり流し、暫くして竜也はバスローブ姿で出てきた。

「あ、今起きた。うん、持ってきてもらえっていい?」

竜也は子機で内線を掛けながら、

(ガチャ。)

部屋の空気を換えるためバルコニー側の窓を開け、電話を切った。

「あぁ〜〜。これでやっと目が覚めたってか?」

煙草を吸いながら外を眺める。いつもの竜也の朝だった。

暫らくするとお手伝いの女が「お待たせいたしました。」と朝食を持って来た。

「おはよっ!ありがとね。そこ置いといて。」

竜也はそう女に声をかけてコーヒーを手にした。

(キィィー キィィー)

突然外でイヤ〜な音が聞こえてきた。

「うわっ!ったくマジかよ!信じらんね。またこの音かよ!」

だいたいこの時間になると聞こえてくる不快な音だった。

「んもぉ、誰だよこの音!!」

いつもならそれ程気にしないで放っておくのだが、今日の竜也は二日酔いで頭が痛かった。

バルコニーからその音の方を見下げる竜也の目に、自転車に乗った人の姿が映った。

「こ、こいつか!」

竜也はその自転車を目で追った。その姿が一瞬竜也の家の大きな木に隠れて見失ったが、すぐにまた見えてきた。

それは自転車に乗って青年だった。

「お?」

青年は長い足にペダルを置いたまま、坂を下って行った。
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