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□crash
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世間的に言うと、初恋は叶わないものらしい。
幼なじみ、というやつも大概意識されずに終わる。
それは果てしなく高く、分厚い壁。









「イルミ!」



「何、そんなに急いで」



いいから!と随分と焦って部屋に駆け込んで来た。
ジウ、は俺の幼なじみだ。
ジウの家も代々暗殺業を請け負っていて、小さな頃から親交があるのだ。



「いや、近く通ったら偶然キキョウさんが何故か試しの門の前で待機しててさ、もう後は…………分かるよね」



「ああ…………」



汗を少しかき、少し疲れた様子のジウは特等席になりつつある俺のベッド大の字になった。
夏場であるため、服は薄く、短い。
そこから伸びる白い足や腕は惜し気もなく露出されていて、目のやり場に困った。




「あのさ、ちょっとくらい女の子らしくしようなんて思わないの」



「えー?」



顔だけこちらを向き、目が合う。
もう何回目であろうか、心臓が知らぬ間に騒ぎ始める。
着ている服はどうってことのない、白いTシャツにジャージ。
いつも周りにいる香水を纏っている女共に比べると、女子力なんて皆無と言える。



「どしたのイルミ?あれ、何でこっち来て」






ああ、滑稽だ。
嫌というほど分かってしまう。
いくら高価な石や布を纏っていなくったって高鳴る胸が。





「イル、ミ」



この距離を縮めてしまえば、壊れてしまうだろうか。暑さか、それとも別で赤く染まった頬に手を添える。更に、鼓動は高まる。




「好き、だよ」




初恋、幼なじみの壁は分厚くて果てしなく高い。
昔、誰かが俺に囁いた。





「だから俺を、俺を見てよ」




距離が、無くなる。




果てしなく高い、分厚い壁が、崩れ落ちる音が聞こえる。
越えられない壁なんて、両の手で壊してしまえ。





crash



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