ひなたぼっこ

□ほんの少し進歩
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「なんで なんでこんな展開に!
つーかくさい 目にしみるっ」

壊れた門を持ち移動させる燐

「門が邪魔で肥料が流せなくって
牛の糞を水で薄めた肥料なの」

「ていうか若子!!お前何してんだよっ」

『あ、うん 花見てるんだけど』

顎に手を当て考え事をしながら花を見ていた若子。

「お前も手伝えっ」
『男手が足りないだけなら あたしはいいでしょ』

そして次は庭を見て周りだした

「ふふ ありがとう
あたし足が悪いからなかなか進まなくて 助かりました」

「助かりましたじゃねー
人を悪魔呼ばわりしてコキ使いやがって…!」

「ご ごめんなさい
さっきはびっくりして」

「けっ まあ俺が門壊したっぽいし いーけど…、?」

「仲直りしてくれる?」

握手しようと手を差し出す少女

「私 あなたがいい人だってわからなかったの」

「…い おっ べ べつにしてやらんこともないけど」

少女の手をとる燐

「ほんと!よかったー
私 社山しえみ あなたのお名前は?」

「お 奥村燐」

『ねえ あなた』
「わ わたし?」

『うん あなた この庭に何か
入ってきたこととかある?』
「なにかって 言われても、」
「はっきり言えよ若子」

『……、悪魔よ 』
「あ 悪魔!?私 そんな、悪魔なんて この庭にっ」
『そうね 悪かったわ
あ あたしは霧隠若子』

「わ 私、杜山しえみ あなたもごめんなさい 悪魔だなんて言ってしまって 仲直りしたいの」

『そんな 気にしてないよ
ありがとう しえみ』

照れたよう笑う若子


「、……このお庭はね おばあちゃんの庭なの
私この庭でおばあちゃんから色んな事教わった 私この庭が おばあちゃんが大好き
でもおばあちゃん今年の冬に事故で死んでしまったの
きっと一足先に 天空の庭に行ったんだわ
そうだといいな、」

「?」
『?』

天空の庭と言う言葉に首を傾げている二人

「あの 天空の庭っていうのはね
神さまが世界中の植物を集めて創った場所のことなの
どこかの世界にあって そこに行けば世界中の草花に出逢えるんだって!」

『へぇー 素敵ね』
「へー! アマハラの庭 よく解んねーけどいいなそーゆーの 行けよっ」

「あははっ行けないよ
お伽噺だもん それにこの足だから
でももし本当に天空の庭があったら
世界中の草や花や木に逢えるなら
行ってみたいな、」

「………、」

「兄さん 若子!
ちょっとどうしてそういう事になっちゃったの 油断も隙もない」

用品店から出て来た雪男と女性 きっと用品店の女将だろう

「おー 雪男」
「雪ちゃんっ」

「ゆきちゃん!? 知り合い?」

「うん いつも贔屓にさせてもらってる
この用品店のお嬢さんだからね
こんにちは しえみさん」

「こ こんにちわっ」

『ゆ 雪ちゃ、雪ちゃん ぷっ』

「え 私なんか変だった!?」

『違うよ しえみが言う分は可愛いけど 雪男が呼ばれる分は、雪ちゃんっ、ぷ』

「、しえみさん そっちは僕の双子の兄です」

「えっ 雪ちゃんがお兄さんみたい」

燐と雪男の顔を交互に見ながら言うしえみ

「実際僕が兄のようなものですよ
兄は形ばかりの兄です
そしてこっちの彼女が僕のお嫁さ、」

ドッ

『ごめん 安全装置外れてたの』

「、幼なじみのようなものです」

「へ へぇ」

「しえみ 今日は先生に足を診てもらいな」

「お母さん!? わ わたし悪魔なんか!」

「念のためです 診て何もなければ
それに越したことはない
見せてもらえますか」

「は はい」

「ありがとうございます」


「なあ 若子」
『なに』
「お前さっき庭でなに探してたんだよ」
『さっきも言ったでしょ 悪魔』
「で でもしえみはっ」
『あの足は悪魔の仕業よこの庭には確実に居るわ
、しえみが悪魔と思ってないだけかもしれない』



「しえみ!お前はもうこの庭から出るんだ!!
いくらおばあちゃんが大切にしていたからってこんな庭!
お前が身体壊してまでやる価値はないんだよ」

「こんな庭、
この庭はおばあちゃんの宝物なのに!!
お母さんなんか大っきらい!!、っ」

くらっ

「しえみさん!」



「しえみ 大丈夫だよな」
『危ないわね』
「じゃあ 祓えば…っ」
『しえみ自身が望まなきゃ祓えないの それに悪魔が何か把握できてないしね』


「――、足が悪かった祖母にそっくりにね…
いったい何でなのか
聞こうと思ってもすぐああやってケンカになっちまう ダメな母親さ」


『…、燐 しえみのことお願い』
「わかってるっ」
『雪男には適当に言っておくから』
「あぁっ」



「店ばかりにかまけて
バチがあたったのかね…」

「っ!! 兄さん!?いない!!
若子兄さんは!」

『しえみの説得』






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