ひなたぼっこ

□甘党だけど、
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春の季節になり新しい制服を着た新入生達が 胸を弾ませ入学式を迎えていた。
だがその中に一人だけ制服ではなく 白いセーターを着ている少女がいた その少女だけがその場にそぐわないような 掛け離れているように見えた。


新入生代表――


奥村 雪男


『うぇ あいつって頭よかったんだ』


「ちょっとカッコよくない」

『は、』

「えー ちょっと地味じゃなーい」
「後で声かけてみよーよ」


『、 どこがいいのやら』


――新入生代表


奥村 雪男








入学式も終わり思い思いに過ごす新入生達 もちろん少女もそうだ


『っ さむい、』

春とはいえども 風が吹けば肌寒い
それにセーター姿の彼女は尚更寒いだろう


「―――の 落胤であることは秘密です」


『ん メフィスト、と 誰
‥‥まぁいっか 塾行こうと』

考えるのが面倒臭いのか 未だ吹く風に身体を縮めながら、そこら辺のドアを鍵で開ける



『一一〇六号教室、うーん』


一一〇六号教室を探して廊下をうろうろする
だが中々見つからないようで 見過ごしたと思い来た道をもどった



「スゲッ」

「一年生の授業は
一一〇六号教室です」


『あ メフィストとさっきの、』

ボソッと呟く どうせ塾に来ているならまた会うだろうと思い話し掛けることはせずに、通り過ぎる


「うわ なんだあの美人っ」

「はぁ あれほど号数を見るように言ったんですがねぇ」

少女の行動が分かりきっているように ため息をつきながら言うメフィスト

「なぁメフィスト さっきの美人も塾に来んのか」

「ええ まぁ、君と同じ一年生です
……顔は良くても 性格は問題ありますよ」

「な なんだよその目っ」

「おっと 着きましたよ」

「、なんかドキドキしてきた…」

ギイィ

「すくなっ」

室内を見回し人数を確認する燐


「祓魔師は万年人員不足でしてね
これでも多い方です」

「それに美人がいねーぞ」

「……後から来ますよ そういう人です」


「はーい 静かに」

「おお 先生がいらしたようだ」

「席について下さい
授業を 始めます

はじめまして
対 悪魔薬学を教える

奥村雪男です」







『一一〇六号教室なんて無いんだけど』

教室が中々見つからないことに苛立ちを覚える少女
あの時メフィストについて行けばよかったと後悔しているのだろう
いやだがあのメフィストのことだ 馬鹿にするに決まっている
あの水玉ピエロに馬鹿にされるのだけは避けたい。
やはり一人で教室を見つけだすしかないようだ

『もう 面倒臭い』


ド ド ドッ

どこからか銃声が聞こえた

『、 あっちからするっ』

銃声が聞こえた方へ 走り出す少女





「教室の外に避難して!」

『雪男っ』

「若子っ やっと来ましたか」

少女――若子の肩に手を置き言う雪男

『それより なんなっ』

カチャッ

『離れないと 頭撃ち抜く』

雪男の額に銃口を向ける若子

「酷いですね せっかく再開のキスを」
『やめて きもちわるい
それより早くそれ なんとかしてよ
あたし鬼 嫌いなの』

ドッ

雪男の後にいた小鬼を撃ち殺す若子

「、わかりました
皆さん 申し訳ありませんが…
僕が駆除し終えるまで外で待機していてください
奥村くんも早く……」

バンッ

足でドアを閉めた燐



『‥‥、』

目をぱちぱちさせている若子 彼女なりの驚きの表情なのだろう

「なぁ なぁ君」

『、なに』

「えらい別嬪さんやなぁ
名前教えてくれへんかなあ」

『霧隠若子』

「へえっ 珍しい苗字やね
あ 俺は志摩廉造いいます よろしゅう」

『あ うん、くしゅっ』

「はは かぁいらしいくしゃみやね
あ これ着ててええよ」

自分の制服を脱ぎ若子の肩にかける志摩

『え でも』

「ああ気にせんでっ
女の子に風邪ひかれたら嫌やし
俺が勝手に脱いだだけやから」

『 、あ あ、りがと』

視線をあちこち移動させながら小さい声でお礼を言う

「か かか かわええっ」

『は、はぁ! 何がよっ
ばかじゃないのっ』








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