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□狂っていた計算
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「Σっ!……ハァ…ハァ…。」
…嫌な夢を見たな…。
マネージャーの綾が屋上から飛び降りる夢。
…フッ。
立海の参謀とも呼ばれている俺も落ちたものだな。
綾が飛び降りるはずかない。
確率的に…100%
俺は額の汗を拭ってから部活に行く用意をしはじめる。
ザワ、ザワ、ザワ、ザワ。
何だ?
この人だかりは。
「や、柳!」
丸井が人の海から走ってきた。
「綾が…綾…!」
今にも泣き出しそうな顔をしている丸井。
…この胸騒ぎは何だ?
「綾が屋上から飛び降りたんだ…!」
ついに泣き出してしまった丸井。
「俺…俺…その瞬間見ちまって…。
綾がぁ……うっ…うぇぇ…。」
思い出してしまったのか丸井は吐いてしまった。
「大丈夫か…?」
「あ…あぁ…うっ…。」
嗚咽を繰り返しながらも落ち着いてきた丸井。
俺は落ち着けない。
「それで…綾が飛び降りる理由解るか?」
問い掛けた瞬間丸井は苦虫を噛んだよう顔をした。
「い、虐められてた…みてぇんだよ…ヒック…。」
―――――ドクン
では、俺が見たのは正夢?
俺は何処で間違えた?
朝、飛び降りる確率は100%と言ったはずだ。
何処で計算が狂い始めていた?
何故助けられなかった?
狂っていた計算
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