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□唇を噛み締めた
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「なー!綾★
俺やっと彼女ができたんやでーー♪」
ドクン。
心臓が煩い。
ユウジに聞こえないかとハラハラした。
『そうなんだ♪よかったじゃん☆』
…何で…。
私ちゃんと笑えてるかな?笑顔が…ひきつってないかな?
私、ユウジには小春ちゃんだけかと思ってた。
いや、思いたかった。
私はユウジが好きだから。
だから彼女が出来たって聞いた時は、時間が止まった気がした。
このクラスが、この世界がモノトーンになった。
…どんだけユウジが好きだったんだろう。
でも…気づくのが遅かった。
自分に腹が立つ。
そこに女の子がユウジに近づいてきた。
「おぉ★花音!よーきたな。
綾!紹介すんで!俺の彼女の花音やvV」
「よろしくね♪綾ちゃん!」
『うん、よろしく★』
本当はよろしくなんかしたくない。
ユウジに私を見てって言いたい。
…っ…。涙が出ると思った。
でもユウジの前で泣くわけにはいかなかった。
大好きな君だから。
困らせたくなかったの。
私は涙が出ないように、唇を噛み締めた。
大好きだよ、ユウジ。
唇を噛み締めた
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