短編

□鳥の中の籠
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※暴力表現注意





さっきから鞭が床をはじく音が耳をつらぬく

朦朧とした意識でゆっくり顔をあげると
汗がたれるのと同時に一人の人物が見えた


背筋をピンとのばし、姿勢よくたつその姿と裏腹に
行われている行為はものすごく下品で下衆だ。


昔から趣味が悪いとは思っていたがまさかここまでとは


昔、という自分の思った単語から
みんなとまだ一緒に戦っていた頃を思い出してすこし胸が苦しくなる


一人自己嫌悪に近いものを感じていると、低い声が降ってきた



「エデンを抜け出して捜し者側につくとは・・・ほとほと呆れましたよ」


冷たい微笑みを浮かべながら近づく男の手には光の鞭

忘れもしない、平家・・・



捜し者側についた私をとらえ、光の縄で私を縛り上げた後

拷問のような形になっている

ただ私にしゃべれるようなことは何もない



「もうやめて、お願いだか・・」


言い切る前に、光の鞭が私の体を跳ねた


「うあっ」



あまりの痛さに思わず涙がにじむ
平家はそれをそっと手でふき取った


「私だってこんなことしたくありません」

「うそ・・・つけ・・」



顔に楽しいとかいてあるぐらい、平家はにこやかだった

それをみて捕らえられてしまった自分に嫌気が差すそれと同時に

平家はしつこい性格だったということを思い出して冷や汗をかいた



「おや、血がでてしまってますね」

そういってこすれて血がでた傷口に思い切り強く爪を立てる


「いっ・・・・」


私が苦しむ様を心底楽しんでいる・・・
悔しさにまた涙がでそうになった


が、平家はそれさえ許さない


ふいに首もとをつかまれ思い切り引き寄せられる
目をそっとあけると平家のきれいな顔が一面に映っていた



「逃がす気はありませんよ・・・
せっかく鳥かごにもどってきた小鳥を、もう一度放つ人間はいないでしょう?」



あぁ、どうやら私はもうこの男から逃げられないらしい

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