小 説

□せのび
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「…っんー!」


 暖かな風、澄み渡る青空。

 彼の望む並盛の姿に触れた気がして、
 ディーノは思いっきり背伸びをした。


「…ちょっと、何今の音?」

「ん? あー…背伸びしたからなぁ」

「…普通の背伸びの2,3倍の音がしたけど」


 半ば呆れた様に言う恭弥に、ディーノは屈託無く笑った。



「そりゃーな!
 風紀委員の書類手伝ってるし!」


 褒めて褒めてと言わんばかりの笑顔を恭弥はあっさり一蹴した。



「マフィアのボスなんだからそれくらいどうってことないでしょ」

「ひでーっ」

「……大丈夫なの?」



 少しだけ眉を顰め、
 心配そうな表情をする恭弥。

 ディーノは一瞬なんの事か分からず間抜け面を晒したが、すぐにその意図を理解した。

 流石、と言うべきなのだろうか?
 自称婿、ディーノを。



「大丈夫だぜっ。
 それにケッコー気持ちいいんだ、コレ!」

「そうなの?」

「ああ。恭弥は背伸びした時気持ち良くないのか?」

「いや、気持ち良いけど…」

「それとおんなじだって!」



 薄く透けるカーテンでは凌げない強い陽の光をバックに、それこそ太陽のように微笑むディーノ。

 二つも太陽があったら熱くて死んじゃうよ、なんて呟いて。

 なんとなく恥ずかしい気持ちになりながらも、恭弥は書類を処理し続けた。


 だがその手を止めたのは、やはり机に突っ伏したディーノ。



「…恭弥ぁー
 なんかやる気萎えたー…」


「えっ、そこは
 よしもうひと踏ん張りだ! とか
 言うところでしょ?」

「だってさー恭弥話しかけてくれたし…
 こー、なんつーかっ」

「…わかったよ、もう。
 でも散歩とかは駄目だよ。
 草壁達が買い物に行ってるから」




 ディーノは、その言葉に幾分か関心しながらも、改めて書類整理中の恭弥を見た。

 出会った頃は、傍若無人だとか問題児だとか、そんな印象だったのに。
 今では恭弥のほんの少しの優しさや幼さを探しては、発見していく。

 案外部下思いなのもわかったし、照れやだったりするのも知った。


「…ちょっと!何見てるの」

「べっつにー」

「仕方のない人だね。
 咬み殺す気も起らないよ」




 恭弥の書類整理をことごとく視線で邪魔するディーノ。
 恭弥にしては珍しく、それを恥じらうだけで怒らない。


「…今日はやけに大人しいな、恭弥」

「まぁね。
 もうそろそろ夏だし…こんなに良い天気だから」

「ハハッ、言えてるな!」


 冒頭自分が思った事は勘違いではなかったらしい。そうディーノは思った。
 やはり恭弥の並盛好きには目を見張るものがある。



「ほんっと恭弥って並盛好きだよなっ!」

「…今の話の流れでなんでその結論へ行きつくの?」


 恭弥は溜息を一つ零して苦微笑した。


「ディーノだって、部下大好きじゃないか」

「まーなっ! 恭弥も大好きだぜ!!」



 無邪気に言ってのけたディーノに堪えられなかったのか、恭弥はとうとう声をあげて笑った。




「…っもう!貴方って最高」

「えっ、そーか!? まじで!?」

「ホントだよ。
 だからもっと言って」





 悪戯が成功した子供のような顔をして、
 恭弥はディーノの膝にのった。



 ディーノは恭弥の髪に口付けて、耳元で明るく囁いた。

「Ti amo!」

























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ごめんなさい

一輪花に献上しました。てか押しつけました。

それにしてはいつもと変わらぬ糞文章だなとか言わないで
これでも頑張ったんだウフフフフフ

ああもう泣く
自分の才能のなさを恨む





 

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