☆ 夢の世界は続く 1 ☆
□―叶えてほしい約束―
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大好きなメロンパンを手にとりテレビの前に行く。
チャンネルをまわすと、動物園の映像が映った。
「わぁ♪くまさんだぁ〜」
真っ白な毛の白クマと、それを笑顔で見つめる家族。
ともみは去年、パパとママの三人で行った動物園を思い出した。
今はパパは遠くに行っちゃって、会えないけど私にはママがいる。
ママは、「パパはお仕事で遠くに行った」と言っていた。
パパ帰ってこないのかなぁ?
そんな事を思うと、急に寂しさがこみ上げてきた。
― パチンッ ―
急に電気は消え、暖房器具が止まる。
「ママ!!ママ・・・お部屋が真っ暗になっちゃったよ。ママァ・・・ぐすん・・・ぐすん・・・わぁぁぁぁ〜ん」
涙が止まらない。
どうして帰ってきてくれないの・・・
寒いよぉ・・・
エアコンは止まり、寒さが襲いだす。
電気代の滞納。
そんな事、小さなともみには何も分からない。
冬の夜はあっというまに暖房なしでは、耐えられない温度へと下がりだす。
だれもいない家。
一人だけの部屋。
余計に寒さを感じる。
毛布を持ち出し、その中へと入り込む。
半年前から外に出るのを禁止されたともみは、幼稚園にも行けなくなっていた。
お友達に会いたい…
先生に会いたい…
みんなともみの事ちゃんと覚えてるかなぁ…
でもママがダメって言う事はしちゃダメなんだ。
結局その日はそのまま眠ってしまった。