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□君を知る、僕を知る
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「柳生、起きんしゃい」

「…珍しいですね。貴方が私より早く起きるなんて」


段ボールが沢山積まれた部屋にとりあえず昨日買ったセミダブルのベッドを置き眠った昨日。
朝、目覚めたのは何年も居た自分の部屋ではなくまだ慣れない所。そして一番良く知っている人物と、共に朝を迎えているというくすぐったい事実。

柳生も勿論だが仁王の方が嬉しそうなのはこの状況から言うまでもない。

大学二年生になった四月。
彼等は同棲を始めた。


「飯、どーする?」

「…昨日買った菓子パンくらいでしょうか」

「…ぷっ」

「何ですか急に」

「柳生の口から菓子パンが出てくるとはのぅ…」

「し…仕方ないでしょう!!明日の朝はちゃんと作りますから!!」


昨日は実家から段ボールを運ぶ作業で精一杯で食料品を買う暇などなく、コンビニで買った菓子パンくらいしか本当にない状況で。

それしかなく食べるものは菓子パンしかないのは解っているが実家では絶対にそんなもの朝食にした事がないであろう彼が仁王と暮らす為に仕方なしと言ってくれる事に仁王自身、ひどく感動していた。


「―…午後から買い物行きましょうか」

「そうじゃの…食料とか食器とか」

「晩御飯は作るので茶碗は洗ってもらいますから」

「……」

「貴方に料理させるのは私的に不安ですから」

「信用ないのー…」

「これから信用させればいいでしょう?」


菓子パンを頬張りながら、淡々と続く会話。
2人とも何処か嬉しそうなのを互いに悟る。
ふと目が合い微笑む瞬間にそれは、確信するものとなる。
出会いから早6年。
互いを知っているようで、知らなかった事。
知ってはいるが実際任すには不安な事。

それは全てを引っくるめて「好き」だと言える事は、2人ともにとりとても簡単な事だった。


「やーぎゅ」

「何ですか」

「…よろしく頼むぜよ」

「こちらこそ、仁王くん」










―君を知る、僕を知る―






午前中は段ボールでも片付けますか


ちょっと位お前さんを抱き締めたいんじゃが


貴方のちょっとは長すぎます


…………。


これは、何があっても信用出来ませんからね


…ひどいナリ…………

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