文の部屋
□獣
1ページ/2ページ
「ゾロー!!」
ほら、
またお前が
今日も呼ぶから
☆獣☆
「なんだよ、ルフィ?」
「でっけぇ魚が釣れたんだ!見てくれよ!う〜まそぉ〜!」
「あぁそうかい。よかったな。」
ゾロは、興奮しているルフィに適当に相槌をうつと、また昼寝に戻った。
「ちぇ〜っ、つまんねぇ!せっかくでけぇ魚が釣れたのによぉ…、」
そこに、ナミが現れてルフィは再び魚の披露をした。
「あら、凄いじゃない。サンジ君に渡しにいかなきゃねぇ」
「だろぉ〜?俺、サンジの所行ってくるっ!」
たたたッ、と子供のようにはしゃぎながらルフィはキッチンへ駆けていった。
ルフィが誰と話しているか、どこにいるのかは気になってしまう。
今回も、昼寝といいながら…会話を盗み聞きしてしまった。
サンジ…、か。
あいつの口から「サンジ」と嬉しそうな声が出るのは、少し腹が立つ。
皆の船長だから、他の船員の名を親しく呼び合うのは当たり前で、あいつが俺の所有物にならないのも当たり前。
…って、何考えてんだ…俺は。
「あのさ、あんたはそれでいいわけ?」
ずい、とナミの顔が視界に入った。
「…何がだよ」
「サンジ君のところ…行っちゃったわよ…?ルフィ。」
「船長なんだ。どこに行こうがあいつの自由だろ」
「狸寝入りしてルフィを気にしてるやつが、よくそんな事言えるわね」
クスッ、とナミは意地悪く笑って自分の部屋へ戻った。
「…何でバレてんだよ、狸寝入り…」
ふぅ、とため息をついて、また横になり瞼を閉じた。
嫌でも聞こえるんだ。
あいつの声が、
頭に自然に流れてくる
気にしていないのに
楽しそうに笑って
四六時中無茶をして
そして、たまに大人びた表情を見せる、あいつ。
*