文の部屋

□獣
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「ゾロー!!」


ほら、
またお前が
今日も呼ぶから


☆獣☆



「なんだよ、ルフィ?」

「でっけぇ魚が釣れたんだ!見てくれよ!う〜まそぉ〜!」

「あぁそうかい。よかったな。」



ゾロは、興奮しているルフィに適当に相槌をうつと、また昼寝に戻った。

「ちぇ〜っ、つまんねぇ!せっかくでけぇ魚が釣れたのによぉ…、」


そこに、ナミが現れてルフィは再び魚の披露をした。

「あら、凄いじゃない。サンジ君に渡しにいかなきゃねぇ」

「だろぉ〜?俺、サンジの所行ってくるっ!」

たたたッ、と子供のようにはしゃぎながらルフィはキッチンへ駆けていった。


ルフィが誰と話しているか、どこにいるのかは気になってしまう。
今回も、昼寝といいながら…会話を盗み聞きしてしまった。


サンジ…、か。
あいつの口から「サンジ」と嬉しそうな声が出るのは、少し腹が立つ。
皆の船長だから、他の船員の名を親しく呼び合うのは当たり前で、あいつが俺の所有物にならないのも当たり前。

…って、何考えてんだ…俺は。

「あのさ、あんたはそれでいいわけ?」

ずい、とナミの顔が視界に入った。

「…何がだよ」


「サンジ君のところ…行っちゃったわよ…?ルフィ。」

「船長なんだ。どこに行こうがあいつの自由だろ」

「狸寝入りしてルフィを気にしてるやつが、よくそんな事言えるわね」

クスッ、とナミは意地悪く笑って自分の部屋へ戻った。


「…何でバレてんだよ、狸寝入り…」


ふぅ、とため息をついて、また横になり瞼を閉じた。


嫌でも聞こえるんだ。
あいつの声が、
頭に自然に流れてくる
気にしていないのに



楽しそうに笑って
四六時中無茶をして
そして、たまに大人びた表情を見せる、あいつ。


*
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