白と黒

□白と黒 F
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☆白と黒☆
7、白い悪魔



サンジに、悪魔界の長…マゼランがいる部屋まで案内された。
「俺はここで待ってるから、後はお好きにどうぞ」
タバコをふかして壁にもたれ、ひらりひらりと手を振るサンジ。

大きな漆黒の扉を開き、マゼランのもとへ行く。

目的は
自分に付けられた「英雄」という名を撤回させる為だった。

噂…とはなっていたが、その根源が上層部と聞いてしまっては…ゾロも黙ってはいられない。

マゼランに直接問いただす、それが一番手っ取り早いだろう。


珍しく機嫌の良かったマゼランは、その答えに快く答えた。
上層部から噂が流れたのは、事実だと。
そして、マゼランは…その噂を真実にしたい…と。

「私は英雄ではありません…!!撤回を…」
「いいか、ロロノア・ゾロ。別に天使を人間にしろと言っているわけじゃないんだ。あの憎き白い羽根をもいだ事を認めるだけで良い。君も褒美をもらえるし、我が悪魔界も活気に満ちるだろう。何がいけないんだ」

「私は、羽根を落とそうと思って触れたわけじゃない」


「じゃあ、何の為だ?お前が触れれば天使には堕ちる以外に道は残されないというのに…」

「……」


黙ってしまったゾロを良いことに、マゼランは畳み掛ける。


「ロロノア、何故天使に情けをかける?お前は天使と仲良くしたいみたいだが、向こうがどう思っているかも解らないだろう?憎くて、悔しくて…今も反撃の隙を狙っているかもしれんのに」

「そんな事は…」

「無い、という確信がどこにある?」


ぎり、とマゼランを睨んだ。
時間はまだある。
焦るな、自分




………


「何度も言ってるじゃない!あの悪魔は危ないわ!」


ところかわって天使界。

ルフィが寝泊まりしている寮にカヤがお見舞いに来た。
ルフィの体調が崩れた事により、チョッパーから絶対安静を言いつけられ、仕方なく部屋でごろごろしているのだが…。
カヤが見舞いにきた時にぽつりと(無意識に)「ゾロに会いてぇ〜」と呟いてしまったのが災難。お見舞いタイムからお説教タイムへと姿を変えてしまったのだ。


「大丈夫だって、カヤが一度会った時も…何もしなかったろ?」
「ルフィさんには触ったでしょう?」
「それとこれとは話が」
「別じゃないわ!」


天使界では浮いている必要が無いため、補助のイスやらボードやらは必要ない。エンジンをつけたり、ハンドルを回したりしないぶん…ここは早く逃げられそうだ。
ルフィはすぐさま回れ右をして、それ逃げろと足を踏み出したとき、


「ルフィ〜っ!」


ルフィの代わりにゾロに会っていたウソップが戻ってきた。

「おっ!ウソップ!おつかい、あんがと!」
「おつかい…?」
「え、あっ…違うぞカヤ…えっとな…今日発売の雑誌を立ち読みして来いって…そうだよなウソップ!」
「は?…え、お…おぉっそうだぞ。俺が読んできた雑誌の内容、教えてやるよカヤ!世界滅亡を考えた宇宙人が…」

なんとなく状況を察したウソップはお得意のウソでカヤをなんとか騙した。

天使が嘘をつくなんて、と周囲の天使に批判を受けることは少なくない。
でも、ウソップは「真実よりも優しい…幸のウソをつく」のを目標にしているらしい。


そんなウソップの目標が嫌いじゃない。寧ろ応援してやりたいとルフィは思う。それはカヤも一緒のはずだ。



「じゃあ、カヤ…これから俺とルフィは大事な話があるんだ。先に戻っててくれないか?」
「…分かったわ。ルフィさん!ちゃんと薬飲んで休んで…」
「分かった分かった!!」



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