白と黒

□白と黒 A
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☆白と黒☆
2、天使は悪魔を想う


こちら天使界。
人間のシアワセを力に生きています。

「この場合、2人の関係は残念なことにあまりよくないですね。…従って」


天使界の、「天使育成所」
現在はビビによる「人間関係論」
苛々している2人の中をどうすれば幸福に出来るか…という講義である。

「天使育成所」から実際に下界に降りて、実習出来るのは…この中でもごくわずか。
ルフィは、このごくわずかの中にたまたま入った天使である。
底の見えない体力、明るさ。
天使らしくない黒髪と黒い瞳は、マイナス点となったらしいが、天使界の長であるシャンクスに認められ、晴れて実習生に選ばれた。


「お前みたいなやつが、実習生に選ばれるなんてなぁ」

「ししっ!いいだろっ!」
「めちゃくちゃ羨ましい…、なんたってカヤも実習生なんだぞっ?」
「そうだよなぁ、ウソップ!あ、でもこの頃カヤ見てねぇなぁ」


ルフィの隣の席はウソップ。
幼い頃からの友人で、カヤと交際中。
カヤは、成績が一番優秀であった為、ルフィと同じく実習生に選ばれた。


「ルフィ!頼むよ!毎回カヤがどんな風に幸を集めてるのか教えてくれるって約束だろっ?」
「うん、そうなんだけどよぉ」
「この約束のためにいくら払ったと思ってんだ〜!食事代返せ!」

カヤの様子を教えてもらうため、ウソップはルフィに夕食を奢ったのだ。
しかし、その量が異常で、ウソップが必死に止めてぎりぎり財布が空になる寸前で済んだのだ。


「ったくよぉ…なんか他に気になるやつでも出来たのかぁ?」
「ぎくっ」
「ほら、やっぱりな。どこのクラスの子だ?カヤよりも気になるや〜つ〜は?」

ぐりぐりぐり、と額を人差し指でつついてやると、ルフィは「違う」とだけ言った。

「違う?んじゃあ、先生とか?」
「い〜や、」
「なんだよ〜、勿体ぶんなって」
「……あくま」
「はい?」
「だから……あくまだよ」
「あくまって、悪魔?悪い魔?」
「うん」
「………はいいぃぃっ!?」

「ばかっ、声出けぇって」と言われたけど、そんなの関係ありません!
相変わらず、人差し指あてて「しぃー!」と言うのでしょうがなく小声で問うた。


「お前、何で悪魔と関わってんだよっ」
「しょうがねぇじゃんか、かっこいいんだもん」


「かっこいいんだもん…じゃなくてだ!いつ?どこで?どうしてっ?」

ウソップの質問責めにあい、しょうがなくルフィはゾロの恋人になるまでを語らざるを得なかった。


「…おいルフィ」
「ん?」
「お前さ、触ったって言ったよな。悪魔に」
「おう!」
「…それ、やべぇぞ」


ウソップは真剣な表情でルフィを見つめた。
「何でだよ、何もなってねぇじゃんか」
「今は…。でも…」


ウソップは言いづらそうに眉をさげる。

「いいんだよっ。俺は大丈夫なんだから、大丈夫だっ!」


意地を張ってルフィは言い放ち、何か言いたげだったウソップに軽くパンチ。
軽くふざけあって、ルフィは「じゃあ、実習だから!」と言って逃げるようにクラスを後にした。



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