白と黒
□白と黒 E
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☆白と黒☆
6、私は白、貴方は黒
「もう関わるのは止めろ」
いつかは言われると思っていたが、案外遅かったなぁ…と感じた。
シャンクスに直々に呼ばれ、小さな部屋に入ったルフィは…その言葉を聞いても、もちろん「はい」などとは言えなかった。
「それは、出来ないです」
「何故?」
「……」
「長として聞いているんじゃない、今は…お前を支えてきた…一人の天使として聞いているんだ。敬語もやめてくれ」
俺の父さんと母さんは、いない。
昔に一度だけあった天使と悪魔の戦いで、その命は犠牲となった。
支えをなくした俺を引き取ってくれたのは、シャンクスだった。
天使の長であるのに、俺を…息子のように育ててくれた天使。
「……」
……
時間を遡ること、数時間。
今日は実習をしている天使達を、シャンクスが見回る日だった。それは、授業中の教室を見回る校長のような感じで、大した事でもない。
だが、それはゾロとルフィにとっては一大事で。
ルフィがすっかりシャンクスの見回りの事を忘れていたため、ゾロと会っていたルフィのもとへ一目散に飛んできたウソップによって、やっとその事を思い出したのだ。
慌ててルフィはゾロと別れたが…時すでに遅し。
「あの悪魔か、」
ウソップの背筋が、ピンと張った。
びりびりするほどの威圧感と共に、シャンクスはルフィの後ろに立っていたのだった。
……
「お前がしているのは、禁忌だ。」
言い放つシャンクスの声は、冷たい。
しょうがないだろう。
汚された悪魔と、仲良さげに話をしている姿なんか見ていたくない。
「なぁルフィ、お前はどうして」
「好きになったんだ」
シャンクスを見て話せない。
透き通っているのに、強いその瞳を見てしまえば、今まで必死で守ってきたゾロとの関係が崩れてしまいそうで。
だから、俺は俯いて、懺悔をするように呟いた。
「決して関わっちゃいけない、闇の者と関わった。離れられなくなったんだ。」
ぽつりぽつりと、
絶対に許されるわけがないのに
それを、ただ呆然とシャンクスは眺めていた。
神様、
俺は神のもとで働きながらも、神を裏切っていた。
でも…神は全てを受け止めてくれるんだろ?全てに耳を傾けてくれるのだろう?
「俺はいくらだって罪をうける。」
「…」
「でも…シャンクス、ゾロは…ゾロには何も起きて欲しくないんだ。触っちゃったのだって、俺が…俺がヘマしたから…あれは事故なんだ…だから…」
馬鹿だな、俺。
もう、何を話しているのかも分からないや。
俺は白で、ゾロは黒。
正反対の俺達が報われるなんて、そんなに現実は甘くない。
「許されるはずないだろう!目を覚ませルフィ!!悪魔なんかを庇うな…!!!」
頭を下げると…ふいに心臓がどくりと高鳴った。
「……っ!!!!」
*