白と黒
□白と黒 C
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☆白と黒☆
4、天使の微笑み
「はい、薬飲んで。」
「うぇー、これ苦ぇんだよ…」
「しょうがないじゃないかぁ。これしかないんだし…。」
白衣を着て頭を悩ませるのは、天使界一の医者と言われている…チョッパー。
ちなみに、彼の姿はトナカイである。
天使から人間へ、力が無くなってしまうのを少しでも食い止められないかと、シャンクスに頼まれルフィの担当医としてやってきた。
悪魔の黒に汚されて人間になってしまった天使は過去に、数人いる。皆成す術無く力を失っていくのを、チョッパーも見ていた。
どう足掻こうとも、いずれは人間になってしまう。それなら、せめて…人間になるまでの期間を長く…天使でいられる時間を1秒でも長く…と研究を続け、薬を作り上げたのだ。
「そうだ!この薬に糖衣をつけてみるよ!」
「本当か!ありがとうチョッパー!」
「ほ…誉めても嬉しくなんかねぇぞコノヤロ〜っ♪」
るんるんしながら砂糖を取り出すチョッパーに、
「あとさぁ、このイス。なんかごついから別のやつにしてほしいんだよ〜」
「あぁ、それならフランキーに言ってくれないか?それを作ったのはフランキーだから」
部屋の奥に向かって、「お〜い、フランキー!」と叫んだチョッパー。
「アウッ!何だ?何か用なのか?」
「紹介するよ、この人がフランキー。………あ、こっちはルフィ。イスを使ってくれてる天使だよ!」
互いの紹介をして、ルフィとフランキーはぺこりと頭を下げた。
「なぁなぁフランキー!俺さっ、自分で立つことは出来るから、なんか…こう…立ち乗りみたいなやつが欲しいんだ!イスが動くのもすんげぇ面白かったんだけどよ!」
「そうか!立ち乗りでス〜パ〜なやつがいいんだな!」
さらさらと設計図を書き、ルフィと何度も相談し(時にはデザインで喧嘩し…)やっと決まった形に満足しながら、「よぉし」とフランキーは叫ぶ。
「じゃあ、明日までにはス〜パ〜なやつ作ってやるぜ!待ってろ!」
「ありがと!」
……
「ゾロ〜っ!!!」
キックボードのようなものに乗ってきたルフィに「何だそれ」と尋ねる。
「天使界のスーパーなやつに作ってもらった、補助移動マシンだ!」
「ほぉ」
「イスよりも動きやすいし、やっぱり立ち乗りっていいなっ!!!」
小回り自由〜っ、と目の前でくるくる回ってみせるルフィ。
翼がなくなったことにより、自分で浮いていることが出来ないルフィ。
笑ってはいるが、飛べなくなったことはルフィにとってかなり心傷付く事だったろうに。
「ルフィ、体は大丈夫なのかよ?」
「へ?」
「天使の力とか…」
「あー、多分へいき!」
「……そうか」
「ゾロは?」
「…あ?」
「ゾロは大丈夫なのか?だって、触っちまったのはゾロだって同じで…」
「……平気だ。多分」
「多分じゃ分かんねぇっ」
「お前だって多分って言っただろ」
「あ、そっか。…そういえばなっ!!天使界にはラブーンっていうクジラがいるんだ!そいつの頭に落書きしてやったんだぞ!」
どうやら自分の話にはなってほしくないらしい。しきりに別の話へと移そうとするので、更に不安になってくる。
もしかしたら、また人間へ近づいてしまったのかもしれない。
「なぁルフィ、本当に大丈夫か?」
「だ〜いじょぶだって!なんなら、ここで5人位シアワセにしてやるよ!見てろ〜っ」
「いいよ、お前ノルマ減らされて3人になったんだろ?やめとけって」
「ちぇ〜っ」
急に補助のマシンを放って、ゾロに飛び付いてきた。
自然と漆黒の髪に触れていたので、そのままやんわりと撫でてやる。
*