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□たとえば君が【L】
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「ひ、日番谷隊長っ!!」

慌てて駆け込んできた隊士に日番谷は眉を上げてみせた。

「なんだ、騒々しい」

書類から顔を上げて見れば、それが今日、松本と共に研修へ向かったはずの新人だと気付く。
ざわり、と嫌な予感がした。

「それが、け、研修中に、虚が子供を、五席が、庇って、松本副隊長が……」

焦って支離滅裂なことを言う新人に駆け寄り、胸倉を掴む。

「要点を言え、何があった!?」

「研修中に虚に襲われている子供を庇って、ま、松本副隊長が重傷を負われました!」

「早く言えっ!それをっ!!」

そういって新人を突き飛ばした後には日番谷は駆け出していた。
嫌な予感が染みのように胸中に広がっていく。
駆けつけた四番隊の綜合救護詰所の前には人だかりが出来ていた。

「どけっ」

人混みをかき分け日番谷が詰所に駆け込むと、四番隊副隊長の虎徹勇音が蒼白な顔で立ち尽くしている。

「虎徹、松本は…」

「日番谷隊長……今、卯の花隊長が治療を開始されました」

「どうなんだ、重傷と聞いたが」

日番谷の問いかけに虎徹は分からない、と首を振る。

「体にもいくつか深い負傷が見られましたが、それよりも頭部、側頭部から後頭部にかけての打撲傷が…もしかしたら頭蓋にも損傷があるかもしれません」

「そうか……」

日番谷は片手で顔を覆う。
副隊長である虎徹の手に負えず、卯の花自らが治療しているのだ、相当危険な状態であるのだろう。

「五席は…?」

「彼もかなり深手を負っているので、今三班が総がかりで治療しています」

引率の席官が二人とも負傷してしまったために新人たちも混乱して連絡が遅くなったようです、と虎徹は力なくうなだれる。
念のために同行していた四番隊の隊士が応急処置をしてここまで運んだのだと聞いて日番谷は虎徹に頭を下げた。

「そうか、すまねえな、うちの新人の尻拭いまでさせて」

「いいえ、そのための救護班ですから」

首を振る虎徹にもう一度頭を下げ、日番谷は治療室の扉を振り返る。

「きっと…きっと助かります。松本副隊長は強い方ですから」

まるで自分に言い聞かせるかのような虎徹の言葉を背に聞いて、日番谷は頷いた。

「ああ……」

指が白むほど拳を握り締める日番谷の背を痛ましげに見ながら、虎徹は祈るように手を組んだ。
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