The Shine of Fenril

□異端の存在
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「兄さん、元気?」

少年は嘲笑うように言った。

新雪のような純白の頭髪に、血のような真紅の瞳が危険な光を放っている、少年にダーレスは見覚えがあった、しかも数ヶ月、ウォルウールが氷結した日に顔をあわせている。


「ルネリア…」


目の前にいるのは妹イレーヌの双子の弟 ルネリア。


「驚くことないだろう兄さん?
兄弟なんだから見舞いに来たっていいじゃないか?」

「一体何用だ?」

ダーレスはルネリアを睨み付けた。

飛鳥が首筋に鳳凰を突きつけている為ルネリア妙な行動は取れない。

「じゃあ簡潔にいうよ。姉さんはどこ?」

予想通りのルネリアの質問にダーレスは苦笑いを浮かべながら

「さぁ私は知らないが?」

と即答した。

「昔から兄さんは俺に冷たかったな…
父さんみたいに」

飛鳥とダーレスが《父さん》と言う言葉を聞いて顔色を変えた

「…父さんが僕たちにしたこと、忘れたとは言わせないよ」

ルネリアの声は怒りで震えていた。


ダーレスたちの父親で先代の皇帝エレボスはまさに《冷酷非道冷血野郎》という言葉がぴったりの男だった。

まだ同時9歳だったルネリアを宮殿から追い出すと同時に、姉イレーヌをローカル博士の実験サンプルとして宮殿の一室に監禁したのだ。

ダーレスもエレボスのことはここまでしか知らない。


「アイツはね、母さんの《力》が欲しかったんだ。
母さんの力は姉さん引き継がれた、
だからアイツは邪魔な僕を捨て姉さんをローカルの実験サンプルにして殺したんだ。」


飛鳥はルネリアの言っている意味が一部理解できなかった。
しかしダーレスは黙ってルネリアを見ていた。


「兄さんに姉さんは殺させない…」

ダーレスが静かにそう言った瞬間。

「飛鳥、伏せろ!!」

ダーレスはそういい布団の中に隠していた銃をルネリアに向け発砲した。

しかしルネリアは弾をどからか取り出した剣で弾いて、笑みを浮かべながら、

「そんなオモチャは僕には効かないよ。」

と自信たっぷりに言った。

「ほう……ならルネリア取引をしないか?」

ダーレスはルネリアに銃口を向けたまま言った。

「それが人にものを頼む時の態度?」

ルネリアは肩を大げさにすくめた。

「いっとくが次の弾はオモチャではない《本物》だ」

するとルネリアはすこしの間黙って瞳を閉じた。

「分かったよ。」

ルネリアは深いため息をつくと、瞳を開いた。




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