ぴくぴく、くんくん。
髭の先がむずむずして、鼻が勝手に嗅ぎ分けた。
「…もうすぐ雨だ、おまえら寝床に帰れ」
ランパスキャットが屋根の上から見下ろす先には、子猫たちが毛玉になって転がって遊んでいた。
きゃっきゃっ、と響く笑い声。
耳だけは幾分、こちらに向いたものの、子猫たちは遊びをなかなか止められない。
ランパスの言葉は、子供たちにはどうも響かない様だ。
空は青く、少し雲が多いくらいでは、ぴんとこないのも無理はない。
しかし、先程までいくら名前を呼んでも、屋根の上でぴくりともしなかったランパスの両目がしっかり開いて、こちらを見ている。
その様子に、子猫たちは渋々、帰り始めた。
「…ほんとにあめふるのかなぁ?」