愛は儚く美しく


□蝶ネクタイで捕まえて
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「花音っ、こっち手伝って!!」

「はーい!!」


文化祭、学校中が賑わう日

その日、一人の女の子が

緑に輝くネクタイ引っさげて

教室の片隅に舞い降りる!!






-蝶ネクタイで捕まえて-






「由美…、これデカくない?」


襟元に飾られたそれを引っ張りながら、友達の由美に聞く


「お笑いなんだから、インパクト大切でしょ!!」


由美は出し物で使うらしいハリセンを作りながら、私に言う


(顔にぶつかるんだけど…)


長さは調節したはずなのに、顎に当たって喋りづらい


「花音?」


後ろから声がして振り向くと、ドアに寄りかかる新がいた


「新っ!」
「ビラ、全部配ってきた。」


手をヒラヒラさせて言う新は宣伝係で、今回やる出し物のビラ配りに行っていた


「みんな来てくれるかな?」
「さあな、それより…。」
「?」


新はあたしに近付いてきて、襟元を指差し笑う


「その蝶ネクタイ…」


あたしがさっきから気にしていたものは、いま新が笑っているもの


「デカすぎね?」


緑の大きな蝶ネクタイは、体の小さい花音には不釣り合いだった


「やっぱ変だよね…。」


顎にあたるそれを鬱陶しく思いながら、俯いた花音


「まぁ…、お笑いライブだしいいと思うよ?」


顔をあげると、微笑みながらオーケーサインを出す新


「新…、」
「ふっ…、」
「…。」


やはり可笑しいらしくて、新は堪えきれない笑いを漏らした


「やっぱ変なんじゃん!」
「違、ごめ…ぶっ、」
「笑うなー!!」


まだ笑う新に怒鳴っていると、由美に肩を叩かれた


「花音、あと10分で始まるよ?」
「嘘っ!もうそんな時間?」


由美の言葉に時計を確認して、新に向き直す


「じゃ、行くね!」
「おー、頑張ってこい。」


あたしは由美に連れられて、舞台裏へと移動した





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