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□叶わないならいっそ
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「……俺には相思相愛な彼女がいて将来も考えてるって」
「……だから?」
「だから!!これは彼女を……例え俺が不本意だとしても、裏切ることになるわけ」
今俺は、新羅の部屋にいる。
壁に新羅を押さえつけて。
新羅の同居人、新羅の言うところの"彼女"、セルティは仕事中で出掛けている。
「……彼女の泣く顔は見たくないから」
「泣く顔って、首ないだろ」
「君には分からないだけだよ。俺には分かるんだ」
高校の時から新羅を口説き続けてもう何年になるだろうか。
高校生の時から、新羅の返事には毎回、セルティの名前が出る。
今までは、新羅の片想いだったからまだ隙があると思っていた。
しかし、どうやら最近セルティの方も新羅に恋愛感情を示すようになったらしい。
つまるところ、二人は恋人同士になったわけだ。
……例えば、セルティが普通の女の子だった場合。
やっぱり新羅もノーマルな恋愛がしたいのだろうと男である俺は身を引いただろう。
しかし、セルティは、確かにスタイルはそこら辺の女に比べたら抜群にいいとはいえ、……都市伝説でもある首なしライダーだ。
とりあえず、ノーマルではない。
間違いなく、アブノーマル。
だから、
「……大体君も俺も男だし」
新羅のこういう主張は俺的には全くもって意味をなさない。
「新羅は人間で、セルティはデュラハン……妖精、だ。人間と妖精の間で恋するのが可能なら、男同士で恋するのも可能。……そう思わないか?」
言いながら、無理矢理新羅に口付ける。
……コイツのファーストキスは俺なんだろうな。
新羅はセルティ一筋だし、だけどセルティとはキスなんて出来ないし。
同意の上ではないとはいえ、その事実は間違いなく。
そこに感じる確かな優越感。