記念小説
□『三周年記念』ひとりじゃないって気付けよ
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3 巧夜
どうしていつも・・・
昔から、朔弥は一人でいることばっかだ
初等学校では勉強ばっかりしてて、学校が終わればすぐに帰っちゃってたし。
今考えてみると、修行してたんだなーってわかるけど
あの頃は、先に帰ったはずなのに家にいない朔弥が、すごく不思議だった。
僕の代わりに塔に行くようになった朔弥は、何を考えているのかよくわからなかった。
うれしいのか、悲しいのか・・・よくわからない。
でも、朔弥のふりをして学校に行ったときに、初めて知ったことがあった。
朔弥には、友達がいないんだってこと。
友達がいないのが・・・みんなでいるのに、自分だけ一人でいるのがすごくさびしいってこと。
朔弥と入れ替わるのをやめて、
中等学校にも進学して、
朔弥にも、友達ができた。
学校で、一人じゃない朔弥。
よくシンリさんと一緒にいることに、安心した。
でも・・・
ちょっと、さびしかった。
朔弥が楽しそうだから、いいことなのに。
なんで・・・
なんで、家では寂しそうな顔してるの?
今までは、学校でも家でもおんなじような感じだったから、気付かなかったけど・・・
塔ではアレスさんと笑ってるし、学校ではシンリさんと笑ってるのに・・・
僕もいるのに・・・
生まれた時から、生まれる前から、ずっと近くにいたのに・・・
ねぇ、朔弥
ひとりじゃないって気付けよ
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