声夢
□Rainyday
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今日は小野くんも私も休みで、二人で出かける予定。
…それなのに
「うっわぁ、また雨だよ。小野くんのせいだからね。」
今日は雨。それも土砂降り。
「それ酷くない?昨日から予報で雨って言ってたよね?」
「言ってたけど、小野くんのせいなの。だって出かけようとすると毎回雨じゃん。」
そう、私たちが出かける約束をした日は必ず雨。これでもかというくらい雨。
もうこれは雨男としかいいようがない。
「確かに雨だけどさ、俺せいなの?」
「小野くんのせいなの。」
私はこれでも晴れ女なのよ。というと『嘘だぁ』と返された。確かに最近は雨ばかりだけど、それは全部小野くんと一緒に約束したとき。
だから小野くんが雨男なんだと思う。
「そんなに言われるとへこむなぁ。」
そう言いながら、少しもへこんでいないへらりとした笑いを浮かべて抱き着いてくる。
…ホントにへこましてやろうか。
「へこんでなさい。」
「うわぁ、ホントにへこんできた。」
ちょっと冷たく言い放つと、へらりとした笑いが消えて、すっごく情けない顔をして、ぎゅうっと抱き着いてきた。そんな小野くんは小さな子供のようで。
「へこんでる小野くんって抱きしめたくなる。」
そう言いながら抱きしめた体はなんだかんだでちゃんと歳相応だった。
わかってたはずだが、どこかこの人は子供だと思っていたみたい。
「へこんでないと?」
「突き放したくなる。」
ニコッと今度は私が子供っぽく笑った。
「酷っ!!」
そう言いながらいじけはじめた小野くんを私は笑いながら抱きしめて、なんだかんだで雨の日は私たち二人にはピッタリだとそんなふうに思った。
でも雨の日がこんなに愛おしいのは君がいるからなんだよ。
そんなこと絶対に言ってあげないけどね。