04/02の日記
21:02
独創B―プロローグ
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プロローグ 一寸先の銀の闇
東洋の果てにはこう言った諺があると聞いたことがあります。
《一寸先は闇》……一寸先が真っ暗で何も見えないように、これから先、どんな運命が待ち受けているのか、まるで予測がつかないことのたとえ。
それを聞いた時私は、あぁ、確かにそうだなと僅かにそう思いました。同時に感銘を受けた覚えもあります。当時、私が騎士学園へと入学したこともそれに感銘を受けるきっかけとなったのでしょう。剣術に覚えがあると言っても中学生時代の私の夢は騎士ではなく宮廷楽師、平たく言えばお城で演奏をする王族お抱えのピアニストでしたので未来はやはり予測のつかないことでしかない、なんと的を射た言葉なのでしょう、と感嘆の言葉を漏らす他ありませんでした。
確か私が占いに凝り出したのもその頃からだったでしょうか。占い、特に星占術と晶占術の本を本屋さんで見つけては買って毎日開き、友だちと話題に花を咲かせてみては何度も試していました。本に書かれてある占いはその道の先生が記したものですから当たっているのだと感じます。しかし、自分でやると当たらないことも多く、当たった時でも曖昧にしか当たりません。凝っていると言っても私が語る占いは所詮趣味の範囲なのでしょうが、それでも十分に話題に花を咲かせることが出来ていましたし、何より夢中になるほど楽しかったので私はそれで満足でした。
いえ、今思うとそれで満足に感じられたのは只単に楽しかった、という理由ではないのかもしれません。若しかしたら認めたくなかったのかもしれませんね。そう考えることでその恐ろしい論理を否定したかった、灰色な占いの結果を、曖昧な未来の可能性を知ることで運命を変えることが出来るという幻想に縋りたかった。それほどまでに私は恐れていたのでしょう。
運命という分かり得ぬ未知の存在は必ず一つに収束していると言う論理を。
私がそれを何時何処で聞いたかは今はもう覚えていませんし、何故それを恐れているかは今でも全くわかりません。過去に何か失くしたわけでもなく、未来に何か失くすだろうと言われた覚えはありませんから。しかし、心の真ん中に尋常ではない喪失感を得たことは覚えています。そしてそれは今になっても同じでその空白が埋まることはありません。少なくとも4年以上は経っている筈なのに……
私はその答えを見出す前に眼前の銀光に斬られて死ぬのでしょうか?
神様はそれを望んでおられるのですか?
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うん、なんか短いね
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