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□07-ある夜の事件
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1ヶ月ほどやっていた公演が終わり、一息ついていた時でした。

ある夜、皆様が寝静まったころ、私は少し外に出て、一服していました。

すると、屋敷の裏の方から、小声で怪しい会話が聞こえてきました。

少し気になったので、鉄格子の陰からこっそり覗いてみると、

そこには、ライバル視されているルチフェルの一族がいました。

その者たちは真っ黒な服を羽織り、フードを深々と被り、移動し始めました。

私は嫌な予感がしたので、急いで門の方まで走って行きました。

しかし、昔から足が悪いため、なかなか向こうに辿り着けなかったのです。

やっと門が見えてきた時にはもう、門番2人が黒装飾のルチフェルたちに殺されていたのです。

「あぁ、これはまずいことになった…」

私は危険を察知し、元来た道を戻り、こっそりと裏門から出て、屋敷を抜け出しました。

屋敷にある電話には間に合わないと思ったので…

急いで近くの警察署まで、助けを求めに行きました。

その間、何が起こっていたかは分かりません。

私は必死で走って、警察を呼びに行ったのですから。

私が大勢の警察官と共に来たころには、屋敷は炎に包まれていました。

少し経って、消防隊が駆けつけ、燃えさかる炎をどんどん消していきました。

私はその間、この火事から抜け出せた人はいないかと探し回りましたが、私が見た限り1人もいませんでした。

私が目に涙をためているところに、どこからともなく叫び声が聞こえました。

しかし、それは私が求めていたセイレネスの声ではなく、警察官の声でした。

その警察官は、担架を持って来いと慌てて叫んでいました。

その隣りで、半ば引きずられながらやってくる人影が見えました。

私は、ハッとして重たい足を引っ張り、その人影のもとへ駆けつけたのです。

「……じ…ぃ……」

「っ!!おぼっちゃま……ご無事で…」

警察官の隣りにいたのは、お嬢様の兄であるリクおぼっちゃまでした。

私は、おぼっちゃまを抱きかかえました。

「ご無事じゃ…ねぇ…ょ(苦笑」

「他の皆様は?」

「親父も、おふく、ろも…殺、され…た。…ル…チフェルの…やつ…ら…に…」

「そう、ですか。お嬢様は?」

「サラ…は…やつらに…連れ…て…行かれ…た。ごめ…ん…な…、俺…あいつ…守…れ…なかっ…た…よ」

おぼっちゃまは、涙を流しながら言っていました。

「では…まだ、お嬢様は生きてるかもしれないのですね?」

「わか…ら…ん…」

「…」

「…け…ど、じぃ…何とか…して…サラを助…けるん…だ…っ」

「おぼっちゃま…」

「…っ」

「おぼっちゃま!!」

おぼっちゃまは血まみれになりながらも、私にそれを伝えるために最後の力を振り絞って、屋敷から這い出てきたのです。

そのあと、おぼっちゃまは息を引き取りました。

ですから私は、今までお嬢様を助けるためにできる限りの事をしてきました。

しかし、私にはこれだけの情報しか集められませんでした。


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