Painless

□03-ハプニング
2ページ/4ページ









「って!?」

そんな事を考えてボーッと突っ立ってたら、後ろからおじさんに叩かれた…

それも頭(泣)

「なんだょぉ…」

俺は頭を抑えながらしゃがみ込んで、今度はちゃんと小さな声でおじさんに言った。

「バカ…ボーッとしてんなっ、来たぞ!」

おじさんもしゃがんで、小さな声で言った。

俺は好奇心で、こっそり本棚の陰から顔を出して外を見た。

おじさんも俺の頭の上に顎を載っけて外を見た。

重いんですけど…。

俺の目に入ったのは、ちょっとやばそうな男と数人のボディーガードらしき人たち。

この店の前を歩いていく。

あれがキリヒトか…。

髪は、色素が抜けて少し長め。

サングラスにスーツという、希に見ない格好。

それに…思っていたより若い。

俺よりも絶対年上だけど、まだ「おにいさん」から「おじさん」の境目くらい?(笑)

つまり、20代後半から30代前半ということ。

見た目からして非道な感じがする。

商店街その雰囲気に押されて、一層静まり返っている。

違う意味で、寒い。

殺気までは感じないが…関わったら只じゃ済まないかもしれない。

そう思いながら、ばれないようにその集団を見ていると、俺は少し違和感を感じた。

集団の一番後ろに付いている人だけ、全身真っ黒だ。

この暑い日に、首から下を覆う真っ黒の服にフードを深くかぶって顔を隠している。

袖は、手に近づくにつれて大きくなっていて、そこから、手は隠れて見えない。

そして、長い裾は、足を隠し、地面をひきずっている。

肌は、一切出していない。

そして、何より気になるのが…背の高さ。

低い。

まだ、子供なのだろうか…それとも…・・・。

色々と思考が回る。

そのうちに集団は見えなくなった。

しばらくして、店の中の緊張の糸がほどけた。

まわりの人たちはひとまず安心したようだ。

所々、会話をしている人もいるし…。

俺もひとまず安堵のため息をついて、おじさんに話しかけた。

「行っちゃいましたね…」

「行っちゃっていいんだょ…でも、また引き返してくるかもしれん」

「あぁ…じゃぁ、俺見てきます」

「うん…って、えぇっ!?待てよ!!見つかるぞっ」

おじさん、なかなかいいノリツッコミで(笑)

俺は、「大丈夫、大丈夫」なんて根拠もないのに言って、手をヒラヒラと振った。

それに気づいたのか、店の中の人たちが一斉に俺を見る。

おっ!俺、めっちゃ注目あびてるっ?!

でも、みんな「よけいなことをして、目をつけられたらどうするんだ!」って顔をしていた。

俺はそれに気づいていながら、出入り口のガラスのドアに足を進める。

「今、どこにいるんだろ…」

ドアについていたベルを鳴らないように取り外し、ドアを少し開けて外を覗いてみた。

すると、キリヒトの集団は結構先の方に見えた。

そして、何かいい店を見つけたらしく、その中に入って行った。

「あれ?あそこって、小麦粉専門店じゃなかったっけ…?」

ここからだと店の看板は見えないけど、俺の頭の中にはちゃんとこの商店街の地図が入ってる。

だから、間違いないはず…

でも、何のために…?

「っ!?」

俺の頭にイヤな予感が駆けめぐる。

まさか…


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ