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□18-目標
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第18章 目標
俺ら3人は、ばらばらに行動しながら時々集まり情報を交換していた。
「昨日ホームに帰って、アレンさんにサラを見つけたことを報告してきたわ」
ニカは、どこから手に入れたかわからない白衣を着て、そう言った。
「アレンさん、何か言ってた?」
シュウはニカに聞き返す。
「”こっちは、準備万端だからいつでも言って☆”って。でも…」
「でも?」
「古野さんの病状が悪化したみたい…だから、早めにって」
「古野さんって誰ー?」
「古野さんは、クライアント(依頼人)だよ。サラの執事だった、じぃちゃん」
「病気なの?」
「うん。なんか死にそうみたい;;だから、死ぬ前にサラに一目でも会いたいんだってさ」
「そか。なら頑張らんとなー☆まず、レンくんはサラに急接近wで、俺は何か記憶を思いだしそうなものを探す。ニカは…どうする??」
シュウは、首を傾げてニカに聞いた。
「!?///……えっと、私ね、少しずつ地下に閉じこめられてる動物を逃がしていきたいんだけど…」
「でも、気付かれたらヤバイじゃん」
「でも、できるだけ多くの子たちを自由にしてあげたいの!」
「どうせ、此処から出る時は此処も処分しないといかんし、逃がすのは良いけどねー」
「それをどうやって誤魔化すか…か」
「ま、いいやwニカ、それやっていいよ」
シュウは考えた挙げ句、そう言った。
「俺がなんとか誤魔化しとくから☆」
「そんな簡単でいいのか…(苦笑」
「ありがとwシュウ」
そんなこんなで、自分の今やるべきことは決まった。
ーニカsideー
『キリヒトは残酷な教授だ。これ以上、被害者を出さないためにも捕まえないといけないよ』
私の頭には、そんなアレンさんの言葉がしっかりと刻み込まれていた。
ここのところ、私は研究所に忍び込んで実験道具として捕まっている動物たちを逃がす仕事をしてる。
任されたことじゃないけど、このままだったら無駄な犠牲が増えるだけ。
だから、ちょっと危ないけれど、ばれないように毎日2、3匹動物たちを地下から逃がしてる。
そして今日も…いつもと同じように黒猫に変身した私は、研究所の裏側に回って床下に潜り込む。
そこは、コンクリートに挟まれた四角い空洞。
真っ直ぐ進んで行くと、奥の方の床に、そんなに大きくない四角い穴とそこにはめられた鉄格子が見えてくる。
それに少しずつ近付いて行くだけで、異臭がどんどん増してくる。
この空洞は、研究所の外と地下の牢屋とを結ぶ道。
私が一生懸命探して、やっと見つけた。
待っててね。
今、助けにいくから…
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